研究課題
本研究の目的は、1ピクセル内に複数の電荷保持領域を持たせて、不感時間なく連続測定が可能な、ワンチップ型のピクセル検出器を開発して、次世代ピクセル検出器として実用化できるレベルに持っていくことである。具体的には、(1) CMOS回路の性能を向上させる技術であるSOI ( Silicon - on - insulator ) 技術を用いて、ピクセル内に高速処理回路を形成する。(2) SOI支持基板にセンサを形成させて、センサと回路が一体になったワンチップ型の検出器を作る。(3) 不感時間をなくすために、ピクセル内に複数の電荷保持領域を形成する。(4)放射線耐性を持たせるために2重SOIウエハを用いる。2年目までに製作した試作チップ試験により、ピクセル内2つの電荷保持領域をすべて使用した読み出し機能確認、バックバイアス電圧100V以上での回路正常動作を確認した。最終年度に2回試作の機会があり、1度目に小型サイズ、2度目に中型サイズのセンサー試作プロセス投入を行った。仕様は、ピクセルサイズ30um、画素数88x88および128x128、ピクセル内に2つの電荷保持領域を持つ電荷積分型SOIピクセル検出器である。実用化に向けて2重SOI基板を一新し、高比抵抗のウエハを採用し、低電圧下でも全空乏化動作できるように改善を試みている。電荷保持領域をピクセル内に2つ設置することで、読み出し時の不感時間を大幅に低減できるので、これが実用化されれば、連続測定が必須である物性試験等に有益であると考えられている。
すべて 2018
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Journal of Instrumentation
巻: 13 ページ: C02005
10.1088/1748-0221/13/02/C02005