研究課題/領域番号 |
15K04731
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
花泉 修 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80183911)
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研究分担者 |
三浦 健太 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40396651)
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60589117)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光導波路 / 量子ビーム / イオンマイクロビーム / PBW / フレキシブル |
研究実績の概要 |
高分子材料の薄膜内部に光集積素子を内包させ、多様な周辺環境への近接が可能なフレキシブル光導波路の開発を行う。イオンビーム微細加工(Proton Beam Writing: PBW)により、生体親和性の高い高分子材料であるPDMSの材料深部に高密度な屈折率変化を誘発できる。この変化を利用し、厚さ数μm程度のPDMS薄膜のみで構成された材料内包型の光導波路を実装し、光変調・演算を可能とする。さらに、技術応用として、高温・高湿度環境や折り曲げ等の機械的刺激に導波路を暴露させながら光学特性を評価する。これにより、将来、光信号処理機能が付帯されたウェアラブル集積型光学素子の要素技術を創生する。本年度は、当初の研究計画どおり、高分子材料であるPDMS試料内部にマッハツェンダー(MZ)型の光導波路をPBW微細加工により形成した。量子機構高崎研に設置された3MVシングルエンド加速器集束イオンビーム措置を利用し、縦: 30 mm× 横: 40 mm× 厚み: 10-40μm程度のPDMS薄膜内部に、加工精度1μm程度で、2分岐構造を有するシングルモードの光導波路を薄膜内部に形成した。本PDMS薄膜を支持基板上から剥離させ、光導波路を自己保持型の高分子薄膜中に形成することに新規に成功した。光導波路の評価として、1.55μmの赤外光を入力とした近視野像観察装置を利用した。光導波路が平坦な平面に置かれた状態と、曲率半径 1.5 mm程度の円柱に巻きつけた状態の両条件において、光導波路内部での光伝播が確認できた。さらに、MZ型光導波路構造の片側分岐部分に熱光学効果発現を目的としたヒータ電極を形成し、外部電源のON/OFFにより光伝播の制御を試みた。このうち、Ti製の薄膜電極を付加した複数のフレキシブル光導波路素子において、近視野像の出力が、外部電圧印加により明滅する様子を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に予定していた自立薄膜PDMS基板での光導波を確認し、さらに次年度以降に計画していた折り曲げなどの機械的変動を加えながらの光伝播に成功した。これに加えて光導波路表面にTi電極を形成し、そのスイッチング動作を確認するなど想定を上回る成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で得られた成果を元に、工学的な達成項目を数値計算や理論的考察などを加えながら議論し、現象の体系的な理解を図るとともに、研究達成目標を追加し、新たな開発目標を定める。
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次年度使用額が生じた理由 |
光導波路の評価において、光学部品の導入を予定していたが、本年度内に計画していた光学評価については既存設備で代用できたため、予算執行計画を変更することとなり、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
光導波路開発において複数種類の導波路が開発されているため、次年度以降の光導波路応用において用途に合わせた光学系の構築が必要である。この際に幾つかの光学部品導入が必要であり、未使用額はその購入経費に充てることで活用する。
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