研究課題/領域番号 |
15K04735
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
渡辺 一弘 創価大学, 理工学部, 教授 (40240478)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザ / 非熱加工 / 光ファイバセンサ / レーザ微細加工 / 量子ビーム産業応用 |
研究実績の概要 |
本研究は、フェムト秒・短波長レーザを利用してガラス材料への深堀・穿孔(穴)内面加工を行うための照射条件出しを実験的に明らかにし、微小な光ファイバセンサプローブの作り込みを行うことを目的とする。フェムト秒レーザ装置の波長を波長変換装置により第2高調波の400nmとし、1パルスあたりのエネルギー、パルス繰返し周波数、照射時間(=総パルス数)の組み合わせを調整し、また集光用光学系を制御して、集光位置、集光度(開口数)を変化させて、深堀・穿孔加工特性を穿孔のアスペクト比(深さ/直径)、形状(直円筒、コーン型)を整える方式を確立する。また、特に内面仕上げ精度との関連について実験的な研究を実施する。深堀・穿孔をコア内に配置すると散乱により挿入損失が生じる。挿入損失と表面精度の関連も明らかにする。これまで、パルスエネルギー20μJ, 繰り返し周波数1kHz,総パルス数100パルス、集光位置:材料表面から50μm,開口数:0.65の集光条件を見出し、加工された穿孔として、全体の長さ:60μm、穿孔開口部の直径22μm、穿孔構造入り口からの深さ23μmまで:コーン状、23μmから最深部まで:直円筒形状(フィラメント形状、直径3μm)、23μmから最深部まで:比較的滑らかの内表面となることがSEM観測で明らかになり、これらの成果を正規論文として公表した。穿孔加工を光ファイバの両側面から行い、貫通穴を成功裏に形成し、内表面に金属コロイドの固定化を実施した。固定化はできたが密度が少ないこともあり、局在プラズモン共鳴現象がみられないので、金コロイドを混入した溶液を貫通穴に導入したところ、局在プラズモン共鳴を観測することができた。この方式により溶液密度から固定化に必要なコロイド表面密度を割り出す方向にある。266nmの光学系の導入が予定より遅れているが、最終年度で挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)400nmフェムト秒加工によるガラス・光ファイバへの照射条件と深堀・穿孔の形状、内部表面仕上げ精度の関連の解明、(2)ガラス・光ファイバへの深堀・穿孔(貫通穴)の形状、配置、内部修飾(金コロイドの固定化を含めて)による微小体積(10-12リッター)セルをもつ分光分析用微小プローブを試作はほぼ達成されてきている。可能ならば平成28年後半以降から、フェムト秒レーザ装置の波長と集光光学系を266nmに移行してする予定であったが、コロイドの固定化で時間がかかり、予定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
内表面に局在プラズモン共鳴を観測できる程度のコロイド密度を見出し、高密度の表面固定化が適当か、溶液溶け込み状態でプラズモンセンシングのどんな機能ができるか実験的検討を継続する。266nm集光光学系を構築し、実験を継続する。金コロイド溶液を試料として、分光分析用微小プローブの評価について論文として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品、旅費などが適切に実施されたが、少し残額がでた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度の研究計画を実施するために、最終年度予算と合わせて適切に使用する。
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