蛋白質中性子結晶学では、蛋白質内に存在する水素や、その周囲の水分子からくる日干渉性散乱が非常に大きく、中性子回折実験ではバックグラウンドとなる。また蛋白質からの平均の回折強度は、格子サイズが大きくなるにつれて反射の数が増加するため非常に弱くなる。したがって大型格子蛋白質単結晶によるブラッグ反射は特に信号とバックグラウンドの区別が難しいものとなる。我々は、J-PARC/MLFにおいて大型蛋白質向けの単結晶中性子回折計の建設を計画しており、本研究では、そのような弱い反射を精度良く積分することを目的とした調査研究を実施し、新しいデータ処理プロトコルの開発と回折装置の設計を行った。
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