本研究の目的は,固定子,回転子,コイルや永久磁石の構造形状や配置位置を同時に創成設計するトポロジー最適化法を構築することにより,新しい機能,あるいは高機能を持ち低消費電力で高出力を実現する革新的な車載モーターの構造創成設計を行う事である.平成27年度の研究においては,回転子の構造設計に着目し,構造材料の電磁気的なB-H非線形性をも考慮した回転子構造のトポロジー最適化法を構築した.平成28年度は,最適設計の対象を回転子構造のみならず,永久磁石の配置にまで拡大して,更に高性能なモーター設計を実現する最適設計法を構築した.この最適設計法の基本的な考え方は,トポロジー最適化による回転子の構造形態最適化問題とパラメトリック最適化による永久磁石の配置位置最適化問題を,代理モデルを介して統合的に解くことにある.平成28年度の段階では基礎検討の段階に留まっていたが,平成29年度はモーター設計問題以外の工学問題への展開を通して,提案する統合的最適化法の基礎理論の整理を行いこれを一般化し,トポロジー最適化とパラメトリック最適化を統合的に行う最適設計法の構築を行った.産業界ではトポロジー最適化とパラメトリック最適化を統合的に行いたいという需要は大きく,本手法は大きな可能性を持つ.そのため,本申請研究は平成29年度で終了するが,今後もモーター設計問題を含めたさらなる工学問題への展開を行っていく予定である.また,本申請研究を通して得られた研究成果を,査読付き学術雑誌論文1本にまとめ,関連する学会発表を6件おこなった.
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