研究課題/領域番号 |
15K04756
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三好 隆博 広島大学, 理学研究科, 助教 (60335700)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 数値計算手法 / プラズマ物理学 / 磁気流体力学方程式 / 二流体方程式 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、プラズマ流体モデルに対して磁場および電場に関するガウスの法則を厳密に保証する高次精度衝撃波捕獲法を研究開発し、次世代マクロスケールプラズマシミュレーションの数値技法の基盤を確立することにある。特にプラズマ流体の基礎的モデルである理想磁気流体力学方程式、および電子・イオンの完全圧縮性二流体方程式について検討する。 本年度は特に、Weighted Compact Nonlinear Scheme (WCNS法)とConstrained-Transport method (CT法)から着想を得て、重み付き差分法に基づき磁場に関するガウスの法則を厳密に保証する理想磁気流体力学方程式に対する高次精度衝撃波捕獲法の開発に成功した。本数値解法では、近似リーマン解法から得られた格子中点の電場(誘導方程式に対する数値流束)を格子節点上に重み付きで高次補間し、同格子節点電場の高次差分を用いてスタッガード格子上に定義された磁場の時間発展を計算する。高次差分で評価された磁場発散は厳密にゼロであることが保証される。数値実験結果から、従来の有限体積的数値解法を上回る高次精度化を達成していることを確認した。画期的な成果であり、現在、国際学術雑誌に投稿準備中である[Minoshima, Miyoshi, and Matsumoto]。本数値解法の応用として、磁気静水圧平衡解を高精度に求める磁気流体力学的緩和法についても検討を開始した。 また昨年度に引き続き、電子・イオン二流体方程式に対する数値技法の基礎的研究に注力した。特に、簡易的モデルを用いて開発・評価した半陰的時間積分法を電子・イオン二流体方程式に拡張することに成功し、シミュレーションコードに実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理想磁気流体力学方程式に対する数値解法の研究開発については画期的な成果をあげた。磁場に関するガウスの法則を厳密に保証する高次精度衝撃波捕獲法の開発に成功した。また新たな応用的課題についても検討を開始し、順調に研究が進んでいる。 一方、電子・イオン二流体方程式に対する数値解法の開発については、当初計画に比べ若干の遅れがある。主な原因は二流体方程式の時間積分法に関する課題である。しかし、簡易的モデルにおいて開発・評価してきた半陰的時間積分を電子・イオン二流体方程式に拡張し、シミュレーションコードに実装した。したがって、遅れを取り戻し、当初目標の達成見込みは十分にある。
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今後の研究の推進方策 |
理想磁気流体力学方程式に対する高次精度衝撃波捕獲法の開発について研究計画どおり成果を達成しており、成果をまとめ国際学術雑誌へ論文投稿する。また実証的研究として、磁気リコネクションに関する超高精度シミュレーションを実施する。 電子・イオン二流体方程式に対する数値技法については、若干の遅れがあるものの、今後も当初研究計画に従い研究開発を進める。振動型ソース項を安定に解く半陰的時間積分法と理想磁気流体力学方程式に対する重み付き高次差分法を拡張し、電子・イオン二流体方程式に対する高次精度衝撃波捕獲法の開発を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子・イオン二流体方程式に対する数値技法開発に若干の遅れが生じ、当初計画していた成果報告出張を延期したため、次年度使用額が生じた。当該助成金は、次年度の成果報告出張費に充当する予定である。
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