研究実績の概要 |
本研究の目的は、次世代宇宙・天体プラズママクロスケールシミュレーションに関する数値技法の基盤を確立することにある。特にプラズマ流体の基礎的なモデル方程式である磁気流体力学(MHD)方程式、および完全圧縮性電子・イオン二流体方程式に対し、磁場および電場に関するガウスの法則を厳密に満足する高次精度衝撃波捕獲法を研究開発する。 重み付き高次補間法と高次度中心差分法を最適に組み合わせた新たな高次精度衝撃波捕獲法を提案し、MHD方程式に適用した。さらに、多次元MHD方程式に対して、磁場に関するガウスの法則を満足し、かつ1次元高次精度衝撃波捕獲法と無矛盾な高次精度Constrained Transport法の開発に成功した[Minoshima, et al., 2019(印刷中)]。また、二流体方程式についても、同様の多次元高次精度衝撃波捕獲法を適用した。ただし、電場に関するガウスの法則を満足する半陰的な時間積分法の開発が検討課題して残った。 MHD方程式に対する高次精度衝撃波捕獲法の実証研究として、磁気リコネクションに関するシミュレーション研究を推進した[Shibayama et al., 2015; Minoshima et al., 2016; Shibayama et al., 2019]。また、高次精度衝撃波捕獲法の新たな応用モデル方程式として、Boris修正型磁気流体力学方程式[Matsumoto et al., 2019]、磁気流体力学緩和方程式[Miyoshi et al.(投稿準備中)]を検討し、その基本的な数値解法を開発した。 本研究で開発したガウス則保証型高次精度衝撃波捕獲法は、宇宙・天体突発現象などの解明に重要な役割を果たすと共に、電磁場解析など工学分野への波及も期待できる。
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