研究課題
これまでの研究ではレベルセット法に基づく接触解析手法及び柔軟体・剛体連成解析手法の定式化とプログラム開発を行い、テスト解析により開発した手法の有効性を確認した。プログラムのデバックやシミュレーションモデルの作成に時間がかかり、また研究代表者の学内業務負荷により、研究計画に遅延を生じ、研究を1年間延長した。平成30年度の研究では、開発した手法の臨床における有効性を検証するため、上腕の生体力学シミュレーションを予定していたが、上腕の運動自由度が多く、解析が不安定となるなどの問題点を確認した。これらの問題点の解決は本研究の範囲を超えているため、解析対象を下肢に変更し、大腿骨、脛骨及び膝関節の生体力学シミュレーションを行った。シミュレーションモデルの構築では、大腿骨と脛骨はCT画像を用いて形状を抽出し、また軟骨に関してはMRIを用いて形状モデルを構築した。さらにMRI画像より軟骨層のモデルを作成した。CTに基づく骨格モデルとMRIに基づく軟骨モデルを融合することにより下肢のシミュレーションモデルを構築した。また、モーションキャプチャーにより歩行の動作データを取得し、動作解析により、大腿骨、脛骨及び膝関節の速度と加速度などを求めた。これらのデータを基に、本研究で開発した手法による生体力学シミュレーションを行い、歩行過程における膝関節軟骨における接触状態、応力分布などを調べた。医学研究者の協力により、シミュレーション結果と臨床現象が一致していることを確認した。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Journal of Mechanics in Medicine and Biology
巻: 18 ページ: 1850018~1850018
10.1142/S0219519418500185