研究課題/領域番号 |
15K04763
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
飯塚 秀明 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50532280)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ネットワーク資源割り当て / 分散最適化 / 不動点 / 凸最適化 / 非拡大写像 |
研究実績の概要 |
大規模かつ複雑なネットワークを管理する運用者(オペレータ)は、ネットワークの安定性及び高信頼性を実現するために、限られたネットワーク資源を大多数のネットワーク利用者(ユーザ)に公平に割り当てる必要がある。これは、オペレータが、ユーザの満足度関数(資源割り当てに関する公平さを表す指標)の総和の最大解を見つけることと同値である。その一方で、オペレータは、ネットワークの管理及び運用により得られる利潤を最大にする誘因(インセンティブ)をもつ。このような2つの状況を勘案した「ネットワーク資源割り当て問題」を解く困難さは、ネットワークの大規模性及び複雑性により、オペレータが全ユーザの満足度関数及び制約集合の形状を正しく知ることが出来ないことにある。本研究の目的は、各ユーザの固有情報(各ユーザの満足度関数と制約集合)と隣接ユーザから送信される情報のみを利用して構成される分散型最適化アルゴリズムを開発し、「ネットワーク資源割り当て問題」を解くことである。
平成28年度では、「ネットワーク資源割り当て問題」の制約集合が、ある計算可能な非拡大写像の不動点集合と一致することを示し、幾つかの「分散型不動点アルゴリズム」を開発することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主問題「ネットワーク資源割り当て問題」を解くための「分散型不動点アルゴリズム」について与えることが出来ている。特に、平成27年度の成果を発展させたアルゴリズムである、準非拡大写像(非拡大写像よりも弱い性質をもつ写像)を利用することができる分散型近接点法及び分散型劣勾配法の開発に成功している。これらの結果により、より広いクラスのネットワーク資源割り当て問題に適用することが可能となる。以上のことから、当初の予定通り、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究成果を発展させる。例えば、確率的勾配法や確率的近接点法といった手法は大規模問題を解く上で有用な手法であるので、「ネットワーク資源割り当て問題」を解くための確率的不動点最適化アルゴリズムが考案可能かどうか検討する。平成29年度では、最新の確率的手法に関する論文や図書を調査しながら研究を進める予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究会や国際会議への参加が困難な状況となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議(7月)に参加する予定であり、次年度使用額をその旅費に充てる。
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