研究課題/領域番号 |
15K04768
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
速水 謙 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (20251358)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 最小二乗問題 / 反復法 / 非負制約 / 箱型制約 / 半正定値系 / クリロフ部分空間法 / 主双対内点法 / 線形計画問題 |
研究実績の概要 |
非負制約付きの最小二乗問題の反復解法については、絶対値を用いて制約なしの変数に関する不動点問題に変換して解く方法をさらに改良した。具体的には、同手法を用いて変数が0の値をとるものとそうでないものに分類する第一段階と、0値をとらない変数に限定して射影勾配法を適用することにより高速化しあt。その結果、従来法より頑健で高速であることを、様々な非負制約付きの最小二乗問題での数値実験により示した。さらに、提案手法を画像修復問題に応用し、従来法よりよい修復画像が得られることを示した。これらの成果を加えて英文誌に再投稿した。さらに、上記の提案手法を箱型制約付きの最小二乗問題用に拡張できることを示した。 半正定値対称な行列を係数行列とする連立一次方程式の反復解法に関しては、右前処理MINRES法が破綻なく収束することを証明し、Eisenstat-SSOR法を用いた右前処理を用いることにより、従来法より高速に、頑健に解くことがでることを、電磁界解析で生じる系などの数値実験により示した。また、収束が停滞した場合に現在の解を初期解として再出発することにより解の精度を改善できることを数値実験により検証した。これらの成果を和文論文誌に投稿し、掲載が決定した。 以前に提案した最小二乗問題の内部反復前処理クリロフ部分空間解法を、線形計画問題の主双対内点法の各反復で生じる劣決定の連立一次方程式の解法に適用し、ランク落ちや悪条件の場合にも頑健に解けることを示した。特に、幅広いベンチマーク問題に対して、直接法を用いている標準的な公開プログラムと比較した結果、より頑健であることを示した。この成果を英文誌に投稿した。 さらに、最小二乗問題の内部反復前処理クリロフ部分空間解法を、非線形最小二乗問題の内部反復に用いる方法を提案し、その有効性を数値実験により示した。その成果をまとめて投稿した論文が英文誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非負制約付き最小二乗問題の反復解法に関しては、2段階型のアルゴリズムに改良することにより、大幅に高速化し、従来法より高速であることが示せた。また、それを箱型制約の問題に自然に拡張する方法を見出した。 半正定値系の右前処理MINRES法については、破綻せずに収束することを証明でき、数値実験によってその有効性を確認できた。 内部反復前処理クリロフ部分空間法の内点法への応用については、反復法としては初めて、幅広い実用問題に対する有効性を示すことができ、英文誌に投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
箱型制約付きの最小二乗問題の反復解法に関しては、絶対値を用いた提案手法の有効性を数値実験により示し、英文誌に投稿する。 半正定値系に対する右前処理MINRES法に関しては、英文誌に投稿するとともに、非対称特異系の前処理反復法へ拡張する。 内部反復前処理クリロフ部分空間法の内点法への応用については、二次計画問題への適用等の拡張を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に支払った非常勤職員の人件費が予定より若干少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
出張旅費として使用する予定である。
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