研究実績の概要 |
主として、Kummer合同式やp進L関数理論の拡張の期待を持たれている多重ベルヌーイ数と、これを負整数点での特殊値に持つArakawa-Kaneko型多重ゼータ関数、およびその正整数点での値に現れる多重ゼータ値とその一般超幾何関数との関係などについて研究を行った。 今年度の概要は以下のとおりである。Kawasakiと既に得ていた、Akiyama-Tanigawaアルゴリズムの一般化について論文を完成させた。また、初期値の母関数について新たな知見を得、Ihara, Komori, Sekiya, Tsumura との研究により、このアルゴリズムの新たな解釈と拡張を得た。Wayamaとの共同研究において得ていたArakawa-Kaneko型多重ゼータ関数の$t$補間とその特殊値の研究成果については論文の投稿を行った。Sasakiとの共同研究では多重ゼータ関数の解析的性質における離散的特徴を捉えるため、足がかりとなる定理と数値データも得た。また、以前得た一般多重Bernoulli多項式の零化公式の第二証明を完成し、それも含めた論文を投稿した。更に、Komatsuとの共同研究によるLehmer型のBernoulli数の合同関係式および行列式表示に関する研究成果も論文投稿を行った。合同関係式付きの多重ゼータ値とそれに付随するArakawa-Kaneko型多重ゼータ関数についても考察を進め、母関数のなす微分方程式を得、母関数と一般超幾何関数の関係解明についてEbisu, Shibukawaと研究課題の検証を進めた。このほか、多重ゼータ値環の標準基底問題や、2元3次形式の類数に付随するゼータ関数、およびグラフの自己同型群とゼータ関数に関する研究も継続しておこなった。 成果発表は8月の国立台湾大学での日台研究集会など内外各所で行った。多重ゼータ研究集会など6件の研究集会を共同主催した。
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