符号・格子・頂点作用素代数という,互いに密接な関係を持つ数学的対象がある.3者は類似した性質を数多く持ち,例えば最小距離やt-デザインという概念が,それぞれに定義されている.特に符号はもともと情報伝達の手段,効率化を目的に導入された概念であり,実生活にも幅広い応用を持つ.従って3者の分類問題は,実生活への応用上も,数学的にも面白い重要な問題である.本研究の目的は,これら3者の分類に向けて,それぞれの数学的性質(最小距離やt-デザイン)を明らかにする事である.例えば,それぞれに定義されている,最小距離の上界の決定や,t-デザインのtの値の決定は,3者の分類へ役立つ事が知られており,本研究の目的である. 大浦学氏(金沢大学)との共同研究で,群の不変量である高種数サイクル多項式を導入した.これにより,サイクル多項式と重さ多項式の関係の一般化が得られた.さらにマトロイドの不変量である高種数タット多項式を導入した.これにより,タット多項式で非同値が示せずにいた数多くのマトロイドの非同値性を証明できた.これは,大浦学氏(金沢大学),佐久間雅氏(山形大学),篠原英裕氏(山形大学)との共同研究である. 中空大幸氏との共同研究で,アスマスマトソンの定理の条件を満たす符号で特異な性質をもつものを発見した. 近年,マシュームーンシャイン現象が発見され,多くの数学者と物理学者の関心を集めている.この現象は,ある物理現象から導き出される保型形式に関係した関数「擬テータ関数」に,一見無関係なマシュー群の持つ量(指標値)が現れる,というミステリアスなものである.前年度は,これらの現象に現れる擬テータ関数と群との新たな関係式を見つけた.当該年度は,これらの証明に取り組んだが未だ未完成である.
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