研究実績の概要 |
次数2のSiegel 保型形式のNewformとは何であるべきか?どのような性質をもっているのか?といった問題に取り組んだ.この問題は局所体上の代数群GSp(4)の既約許容表現論の問題である. 楕円保型形式のNewform理論が, 1970年代に構築され様々な応用があることからGSp(4)でもまた重要である.Roberts, Schmidt氏 [2007年] によって構築されたPGSp(4)のgeneric既約許容表現(Whittaker 模型を持つ表現)のNewform理論をGSp(4)に拡張し, また, Newformの解析的に定義されるNovodovorsky積分がその表現のLanglands L関数と一致することを示した.このNewformは, 今回新たに定義した擬paramodular群(これはε因子で定まる)で固定される部分空間に一意的に現れる.非generic-表現である斎藤-黒川リフトにおいて, Bessel 模型のNewform理論を構築した.そのNewformは, 新たに定義した非分裂型paramodular群で固定された空間に一意的に現れ, 標準的に選んだPiatetski-Shapiro積分が Langlands L-関数と一致するといったものであった. この非分裂型paramodular群は, ε-関数で定まる.一般にSiege保型形式は, Whittaker 模型は持たず, Bessel模型(Fourier-Bessel係数)は持つ. 例えば, 様々な研究分野からも重要視される正則Siegel保型形式は, Whittaker模型を持たず, Bessel模型でNewform理論を構築することが望まれるが, 上記の結果によりの一般の保型表現に対しては, 擬-非分裂型paramodular群によりNewform理論が構築されることが期待される.
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