研究実績の概要 |
指数型不定方程式における未解決問題の一つとして、ピタゴラス数に関するJesmanowicz予想がある。このJesmanowicz予想を一般化し、a,b,cを1より大きい正の整数とするとき、いくつかのa,b,cの組の場合を除けば、指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z がただ一つの正の整数解x,y,zを持つという予想(Terai予想)を1993年に提起した。Terai予想は多くの場合に正しいことが証明されたが、現在のところ未解決である。lを奇素数とするとき、指数型不定方程式 a^x+lb^y=c^z についても同様な結果を得て、Int. J. Algebraに論文を掲載できた。証明は、X^4-lY^4 =Z^2に関する結果やBaker理論(2つの対数の1次形式の下からの評価)による。この論文の結果を「指数型不定方程式 a^x+lb^y=c^z について」という題目で第136回日本数学会九州支部例会(於 福岡教育大学)において発表した。 他の3つのタイプの指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z, a^x + 3b^y = c^z, (a^φ(m)-1)/m =x^l についても、学会や研究集会においてそれぞれ講演した。
昨年に引き続き、2016年10月8日・9日にホルトホール大分サテライトキャンパスにおいて「2016大分整数論研究集会」を代表世話人として主催した。多重ゼーター関数、数論幾何学、代数的整数論、数学史に関する素晴らしい講演が行われ、若い大学院生を含めて多くの参加者があった。各講演について活発な質疑応答があり、大いに刺激を受け、整数論の研究者と有意義な意見交換ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、指数型不定方程式 a^x+lb^y=c^zについて、lがl≡1.5,7(mod 8)のときに楕円曲線の階数に関する結果やBaker理論を用いて新しい結果を得たい。他に、指数型不定方程式 a^x+(a+b)^y=b^zについて、2次不定方程式のYuanの定理やLucas数列のBHV定理を用いて、a,bがいろいろな値のときに正の整数解x,y,zを完全に決定したい。
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