研究課題/領域番号 |
15K04788
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
津村 博文 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20310419)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゼータ関数 / 整数論 |
研究実績の概要 |
研究発表欄にある通り、多変数のWittenゼータ関数に関して、連携研究者の松本耕二氏、小森靖氏との共同研究に関して、3本の論文が出版された。一つ目はこれまで執筆してきた 多変数のWittenゼータ関数に関する一連の論文の5番目にあたるもので、とくに例外型Lie代数に付随するゼータ関数を扱っている。これまで他の研究者によって予想されていた特殊値の表示を明示的に与えるなど、大きな成果を含んでいる。2つ目は本来の半単純Lie代数に付随するものとして Witten ゼータ関数が定義されていたが、それをLie群に付随するゼータ関数に拡張したことが重要な点である。実際、Weyl群の作用を精密に考察することで、これまで得られていなかった、Wittenゼータ関数の特殊値に関する表示も得られ、この分野の発展に貢献した。3つ目はこれらの一般化と見られる、超平面配置に付随するゼータ関数も定義し、その特殊値も計算することができた。これらはそれまでの3人の共同研究に継続的な研究結果と見られるものである。さらにEuler-Zagier型の2重ゼータ関数に関する平均値定理に関する松本氏との共著論文も出版された。この結果は、Riemannゼータ関数の平均値定理の二重化と見られるもので、これまでこの方面の研究はほとんどなされていなかった。本研究を皮切りに、最近、この分野の研究者達によって、多重化や一般化がなされて、大きな発展が期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた、多変数のWittenゼータ関数に関する研究については、研究論文も出版されて、順調に進展している。また連携研究者の古庄英和氏を含めたp進多重L関数に関する論文: Fundamentals of p-adic multiple L-functions and evaluation of their special values. に関しても、2015年度に, 数学の専門誌 Selecta Math. にacceptされた。こちらの研究も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の項目で述べた研究の継続に加えて、九州大学の金子昌信氏との共同研究も進んでおり、2015年度に1本の論文を arXiv に発表した: ・Multi-poly-Bernoulli numbers and related zeta functions,arXiv:math/1503.02156. また2016年度に入ってすぐに下記の論文を arXiv に発表した: ・On a duality formula for certain sums of values of poly-Bernoulli polynomials and its application, arXiv:math/1604.00622. また小森氏と取り組んでいるGL_2(C)に付随する荒川-金子ゼータ関数およびポリベルヌーイ多項式に関する研究も継続的に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来、使用予定だったフランスへの研究出張旅費について、他の費用による補助をうけることができたため、その分を次年度に繰り越す
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、新たにフランスへの研究出張を予定しているため、旅費の一部として充当する予定である。
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