最終年度に得られた研究成果としては、多変数Witten 型ゼータ関数の解析的な理論に関する成果、荒川-金子ゼータ関数に関する継続的な研究成果、さらに関連として、多重Eisenstein級数の満たす関係式の導出、古典的なテータ関数の変換公式を用いた、双曲線関数を含む多重級数の関係式の導出などがあげられる。 まず、多変数Witten 型ゼータ関数については、ランクの低いルート系に関するものについての特異点解消について、望ましい結果が得られて、連携研究者の古庄氏、小森氏、松本氏との共著論文として発表したものが数理研講究録別冊から出版される。さらには、小森氏、松本氏との共同研究で、ポアンカレ多項式を用いた非自明な関数関係式の導出に成功し、例えばこれまで得られていなかったA_3型ルート系に付随するゼータ関数の特殊値の導出に成功した。この結果は専門誌に投稿中である。 荒川-金子ゼータ関数に関する結果については、既に出版が決まっている2本の論文をもとに、金子昌信氏との共同研究が継続しており、関数としての双対性をもとにした新たな多重ゼータ値の間の関係式への応用が得られ、現在金子氏とともに、共著論文としてまとめている。 多重Eisenstein級数の満たす関係式については、年度内にH. Bachmann氏との共著論文が出版された。現在の継続的に研究を続けている。 さらに古典的なテータ関数の変換公式を用いた、双曲線関数を含む級数の関係式として、1970年代に B. Berndt氏によって得られている結果の一般化が得られ、既に専門誌への掲載が決定している。その二重化類似も得られ、その結果についても専門誌への掲載が決定している。これらの結果はさらなる発展が期待できるため、今後も研究を継続していく。
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