研究実績の概要 |
当該年度に発表された論文について述べる. 先ず,Michel Grosとの共著論文"Contraction par Frobenius et modules de Steinberg" では,先に構成した,正標数単連結半単純代数群Gのalgebra of distributions上のFrobenius morphismのsplittingを用いた,Gの表現のFrobenius contractionが,Steinberg moduleを用いて記述できることを示した.これは,報告者が科研費を使ってMittag-Leffler研究所を訪れたときにDonkinに教えて貰ったことで,誠に科研費の有効利用となった.この特徴付けにより,Gの表現のFrobenius contractionが,就中,injective modulesやgood filtrationsを保つことが分かる. 次に,"On the Frobenius direct image of the structure sheaf of a homogeneous projective variety"では,G_2型の代数群Gのflag variety G/P, PはGのparabolic subgroupでそのLevi subgroupがGのshort simple rootを持つ,の構造層のFrobenius direct image, これをFと記すことにする,の構造を,付随するG_1P-Verma module を用いることによって決定した.G_1はGのFrobenius kernel.その結果,今まで得られている他の場合と同様に,Fのdirect summandsの内からG/P上のKaroubian complete strongly exceptional poset of coherent sheavesがG_1P-Verma moduleのLoewy seriesから構成できる.一方,従来とは異なり,F全体のself extensionは消えない.従って,G/P上のsmall differential operator ringの1st cohomologyが消えないことも分かる.
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