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2015 年度 実施状況報告書

代数解析的手法による幾何学的表現論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04790
研究機関大阪市立大学

研究代表者

谷崎 俊之  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70142916)

研究分担者 兼田 正治  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60204575)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード量子群
研究実績の概要

偶数乗根での量子群の代数的研究を行った.中心の環構造は既にわかっているが,表現論への応用においてはポワソン構造を決める必要がある.その際q=-1での量子群が重要な役割を演じる.実際,q=-1での量子群のある種の部分環がポワソン代数となり,偶数乗根での量子群の中心に埋め込まれることがある.そこでq=-1での量子群に関して考察を行った.q=1での量子群はリー代数の包絡代数となるが,q=-1のときは符号の現れ方がより複雑である.この符号に関する考察を行い,その帰結として新たにリー多重超代数の概念を導入し,q=-1での量子群がリー多重超代数の包絡代数となることを見いだした.またポワソン構造も含めたポワソン多重超代数の概念を導入した.これを用いて偶数乗根での量子群の中心のポワソン構造を調べるのが,今後の課題である.
量子座標環の表現論についても研究を行った.特に既約表現のテンソル積がどう分解するかについて考えた.その動機は圏化への応用にある.単純ルートに対応して定まるフォック表現はテンソル積に関して組紐関係式を満たす.従って単純ルートに対応するフォック表現の2階テンソル積の分解がわかると新たな代数が定まるものと思われる.とりあえず,この問題をパラメータがベキ根のときに特殊化して考えた,この場合には有限次元既約表現の2階のテンソル積を考えることになるが,分解の記述は得られた.これの圏化への応用を与えたいが,それは今後の課題である.
量子群の可積分表現の指標に関する柏原の問題について考察し,これを解決した.具体的には,パラメータがベキ根でないときには,対称化可能一般カルタン行列に対応する量子群に対してワイルの指標公式の類似が成り立つことを証明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画では,(1)ベキ根での量子群の表現論 (2)量子座標環の表現論 (3)アフィン・ヘッケ代数の表現論 の3つの課題に関して研究する予定であった.このうち(1), (2)に関しては進展があったが,(3)に関しては大きな進展はなかった.ただし,これ以外に量子群の可積分表現の指標に関する問題を考察し,これに関しては,長年の予想を解決することができた.

今後の研究の推進方策

研究計画にある(1)ベキ根での量子群の表現論 (2)量子座標環の表現論 (3)アフィン・ヘッケ代数の表現論のうち,(1), (2)に関して進展があったが,まだ完成したわけではない.引き続き研究を行いこれを完成するのが次の目標である.(3)に関しても研究を行う予定である.

次年度使用額が生じた理由

海外での国際研究集会に2度出張したが,いずれも主催者より旅費・滞在費の支給があり,科学研究費を使う必要がなかった.また,国内研究集会への援助の必要がなかったので取りやめた.

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は,主として旅費に充当する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] The center of a quantized enveloping algebra at an even root of unity.2016

    • 著者名/発表者名
      T. Tanisaki
    • 雑誌名

      Osaka J. Math.

      巻: 53 ページ: 47--83

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Un scindage du morphisme de Frobenius quantique.2015

    • 著者名/発表者名
      M. Gros, M. Kaneda
    • 雑誌名

      Ark. Mat

      巻: 53 ページ: 271--301

    • DOI

      10.1007/s11512-014-0205-8

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Modules over quantized coordinate algebras and PBW-bases2016

    • 著者名/発表者名
      T. Tanisaki
    • 学会等名
      Taipei Conference in Representation theory V
    • 発表場所
      Institute of Mathematics, Academia Sinica, Taipei, Taiwan
    • 年月日
      2016-01-08 – 2016-01-08
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Characters of integrable highest weight modules over a quantum group2015

    • 著者名/発表者名
      T. Tanisaki
    • 学会等名
      Categorical Representation Theory and Combinatorics
    • 発表場所
      KIAS, Seoul, Korea
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-11
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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