研究課題/領域番号 |
15K04794
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
中島 俊樹 上智大学, 理工学部, 教授 (60243193)
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研究分担者 |
中筋 麻貴 上智大学, 理工学部, 准教授 (30609871)
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クラスター代数 / 結晶基底 / 幾何結晶 / 単項式表示 / double Bruhat cell |
研究実績の概要 |
クラスター代数は現在広く世界中で研究が活発に進展しており、当該研究の主題はこのクラスター代数と結晶基底の関係について単項式表示や多面体表示などを用いて具体的に記述することである。これまで明らかになっているのは2重Bruhat cell G(u,e)上の座標環が持つクラスター代数としての構造のうち初期クラスターとよばれるものについて、Demazure 結晶の単項式表示を用いて具体的に記述したことである。さらに、ポスドクの金久保有輝とともにA型の場合に、Coxeter元からきまる2重Bruhat cell 上のクラスター代数のすべてのクラスター変数を結晶基底の単項式表示を用いて具体的に記述することにも成功し、学術誌にすでに論文が掲載されている。そこでは、preprojective 代数の加群の圏を用いてadditive categorification という手法が重要な役割を果たした。また、クラスター多様体と呼ばれる幾何学的対象上に幾何結晶の構造を導入することにも研究の方向を広げている。クラスター多様体にはA多様体とX多様体という対になったものが定義されている。この2つのトロピカル 双対について、その上の座標環とtropicalizeされた多様体によって基底がパラメトライズされるというFock-Goncharov 予想というものが提示されて、幾何結晶のtropicalizationとの関係が期待されている。こちらについてもすでに学術誌に論文が掲載済みである。最近ではpotential とよばれる多様体上の関数が幾何結晶、結晶基底そしてクラスター代数をつなぐ重要な対象であると認識しその具体的な構成や応用についての研究を開始した。中筋はCasselmann問題, ゼータ関数を通じて解析数論の立場から研究を遂行して、五味は群論、Hecke環の立場から研究を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にあるクラスター代数と結晶基底に関連した海外での研究発表を行い、その結果について学術誌への論文の掲載もあり概ね当初の予定通りの成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、主に有限型とよばれるリー代数のクラスを扱っているが、さらに広いクラスであるKac-Moody リー代数へ広げることや、圏化と呼ばれる手法もこれからの研究に応用することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で2020年3月にフランスでの国際研究会が開催中止となり、渡航を断念したため。 国内、国外の研究会に出席するため、そして共同研究者の滞在費などに使用したい。また、計算機や周辺機器などの購入にも 使用したい。
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