研究実績の概要 |
(1) GSp(2)の標準L関数、スピノールL関数に対するアルキメデスゼータ積分 2次斜交群GSp(2)上のジェネリックな保型表現に対する標準L関数とスピノールL関数を同時に解析接続する複素2変数のゼータ積分の実素点における計算を進めた。このBump, Friedberg, Gizuburgによって発見されたゼータ積分に対する局所ゼータ積分は、Whittaker関数とSiegel Eisenstein級数とKlingen Eisenstein級数を構成する切断たちの3つ組の積分変換となっている。これまでに蓄積されてきたGSp(2,R)上のWhittaker関数の明示公式を用いて、実素点における局所ゼータ積分が局所L因子の積と一致するような3つ組を具体的に与えた。
(2) GL(3,R)のクラス1主系列表現に対する一般化Whittaker関数 GL(n)上の保型形式はWhittaker関数によってフーリエ展開されることが知られているが、n=3の場合に、さらに細かい、極小放物部分群に沿ったフーリエ展開を記述するためにその展開に寄与する特殊関数について考察した。GL(3,R)のべき単部分群は3次元ハイゼンベルグ群になり、その無限次元表現に対する一般化Whittaker関数を特徴付ける偏微分方程式系を、GL(3,R)のクラス1主系列表現に対して導出した。さらにその偏微分方程式系の確定特異点の周りでの級数解を求めた。
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