研究実績の概要 |
S. Chowlaは、pが奇素数のとき、cot(2πj/p) (j=1, ... , (p-1)/2)が有理数体上1次独立であることを示した。また、Chowlaは、素数pを周期とする0でない数論的関数fに対するDirichlet級数の1での値L(1, f)は0でないだろうと予想して、ある条件の下で示した。A. Baker, B. Birch, E. Wirsingは、正整数を周期とする0でない数論的関数fのDirichlet級数の1での値L(1, f)は0でないだろうと予想して、ある条件の下で示した。報告者は、関数体上でChowlaの問題に取り組んだ。まず、cot zの類似を定義して、Chowlaの最初の結果の類似を確立した。次に、この結果を関数体上でDirichlet級数に応用して、Chowlaの2つ目の結果を考察した。その結果、パリティ条件を満たす0でない周期的な数論的関数に対するDirichlet級数の1での値L(1,f)が0でないことを示した。報告者の結果は、Baker, Birch, Wirsingの結果の類似を与えている。応用として、関数体上のDirichlet L-関数の1次独立性の結果も得られた。 有限上半平面上でベクトル値保型形式を導入して、その性質を調べた。応用として、有限上半平面上の同変関数の存在を示した。
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