研究実績の概要 |
佐藤幹夫は概均質ベクトル空間の概念を導入し、とくに代数群が簡約可能で特異集合(大きな軌道の余集合)が既約超曲面の場合(これを良い性質を持つ概均質ベクトル空間と仮称する)には、新谷卓郎の協力を得て、関数等式を満たす1変数ディリレ級数(概均質ゼータ)の存在を示した。リーマンのゼータ関数は、概均質ゼータの例になっている。そこで新しい概均質ゼータを知る必要性から、佐藤は木村達雄の協力のもとで、既約概均質ベクトル空間の分類を完成した。それにより新しい概均質ゼータが発見され、数論への応用も多くの数学者により得られた。そこで本研究では、非既約で良い性質を持つ概均質ベクトル空間を分類することを目標とする。 その場合は既約成分は、相対不変式をもたない非正則概均質ベクトル空間になる。 それは佐藤・木村の分類の結果から、(1)(Spin(10),半スピン表現), (2)(SL(2m+1),Λ2), (3)(Sl(2m+1)×SL(2),Λ2テンソルΛ1), (4) (Sp(n)×SL(2m+1),Λ1テンソルΛ1), (5) (G×SL(n),\rho テンソルΛ1、V(m)テンソルV(n)) 但しGは任意の簡約可能代数群で、\rho はその任意の既約表現、そして G≠SL(m)で3≦m<n、という条件がつく。(6) (SL(m)×SL(n),M(m,n)), ただし1≦n<m/2),の6個のreducedな空間と裏返し同値となる。これは無限個存在するが、分類を可能にした今回の研究での発見は、既約成分のうち被約でないものは、高々一つである、ということである。これを主既約成分とよぶ。すべての既約成分が、(6)と裏返し同値なとき、クイバー型、それ以外を非クイバー型とよぶ。本研究では、主既約成分が(5)と裏返し同値で他の既約成分が(5)または(6)の場合を除き、非クイバー型の分類を完成させた。
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