研究実績の概要 |
1)射影曲線の巡回被覆曲線のワイエルシュトラス重複度の下限評価に関する結果をまとめた共同研究者 Wangyu氏,川崎真澄氏との共著論文:Wangyu,N., Kawasaki,M. and Sakai,F.:On Perez del Pozo's lower bound of Weierstrass weight が Kodaai Mathematical Journal に採択(accept)され,近く出版されることになった.最終版には,Perez del Pozo 氏の下限が実現される必要十分条件を証明した昨年度までの成果に加え,分岐点が一個の場合について次の結果を追加した.(1)ワイエルシュトラス重複度が1,2,3になる曲線を分類した.証明にはアイヒラーのトレース公式を用いた.(2)分岐点のワイエルシュトラス重複度が4から9の場合を実現する曲線の具体例を示した. 2)各点のワイエルシュトラス重複度の総和を表す公式を各分岐点が完全分岐する場合に証明し,系として,下からの評価式を得た.さらに,下限を実現する曲線を詳しく分析した.とくに,被覆次数が偶数のときには,各点のワイエルシュトラス重複度はすべて等しいことが判明した. 3)高次ワイエルシュトラス点の重複度に関する研究を進めた.今回,巡回被覆の被覆次数や分岐点の分岐指数などの不変量により,2次と3次のワイエルシュトラス点の重複度を計算するプログラムを作成し,数式処理ソフトMapleを用いて,多くの曲線例を計算した.いくつかの例において,高次ワイエルシュトラス点の重複度の上限に関する Duma予想(1978年)が成立しないことを確認した.
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