研究課題/領域番号 |
15K04810
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
大野 真裕 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70277820)
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研究分担者 |
寺川 宏之 都留文科大学, 教養学部, 教授 (80277863)
山口 耕平 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00175655)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネフなベクトル束 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,射影空間上の第1チャーン類が3のネフなベクトル束を分類した.特に第2チャーン類が7以下か,あるいは,射影空間の次元が3以上であれば,第1チャーン類が3のネフなベクトル束は大域生成になることがわかった.これは,次の2つの懸案事項を解決したことに伴う成果である.(1)射影空間の次元が3で第2チャーン類が5の場合に,ネフなベクトル束で存在が不明な場合があったが,結局この場合には存在しないことを示した.(2)第2チャーン類が9の場合は(ネフだが大域生成でない例はこれまで見つけていたが,)分類はされていなかった.それを(大域生成でないものも含めて)分類した.射影平面上では,第2チャーン類が9の場合は,対応するトートロジカル直線束が(ネフではあるが)巨大にはならないので,第2チャーン類が8以下の場合に基本的道具としていたコホモロジーの消滅定理が使えず,困難が予想されたが,結果としてうまく場合分けして議論することで,この困難を乗り越えることができた.これらの成果をまとめた論文を,現在,投稿中である.また,代数的トポロジーの知見を活かす研究分担者は,さらに,B. Farb-J. Wolfson達によって,定義された体F上のresultant(一般化された終結式達)の組のなす空間のホモロジー群の決定について考察した.この空間は,F上のaffine varietyになることが知られている.とくに、体Fが複素数体Cの場合には,A. Kozlowski教授(ワルシャワ大学)との共同研究でこの空間のホモトピー型を完全に決定した.最後に,偏極多様体論の知見を活かす研究分担者は,研究代表者とともに,台が0次元のいくつかの連接層の性質を確かめるとともに,偏極多様体のレフシェッツ型の定理にスタックの手法を持ち込む最近の研究についての知見を深めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
射影空間上の第1チャーン類が3のネフなベクトル束について,ここ2年間の2つの懸案事項を解決し,その結果分類を与えることに成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
今後とも,当初の予定通り,非特異射影多様体の有理的連結性とその導来圏の半直交分解の有無の関係や,半直交分解がある場合には,半直交分解を使った(特にネフな)ベクトル束の記述などの研究を推し進めていく.有理的連結多様体とその上のベクトル束に関する研究にも注目していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
約6万円程度の残額であるが,平成29年度に使ってしまうよりも,平成30年度にブラジル,リオの国際数学者会議に参加するためにかかる航空運賃,宿泊費,参加料,通信費等と一緒に使ったほうが,より有意義に使えると考えたため.
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