研究課題
基盤研究(C)
本研究では、アーベル多様体のモジュライ空間において、適切な退化対象を対数幾何学のなかに見い出し、対数アーベル多様体論を構築し、この方面の研究への応用を目指し、対数アーベル多様体の偏極に関する基礎研究、局所モジュライ空間、代数幾何形式幾何対応の研究を実施した。成果として、対数アーベル多様体上の乗法群に関わる主束の立方定理や、その多様体の射影モデルの存在が得られた。また、対数アーベル多様体の代数幾何形式幾何対応も得られ、このような多様体の局所モジュライ空間を構成した。
代数学
対数アーベル多様体は、アーベル多様体の退化と考えられる多様体では、群構造と完備性という、代数幾何における扱いやすい条件が両立しない点を補う、新しい空間であり、対数代数空間の例である。アーベル多様体の幾何を対数アーベル多様体へ拡張することで、退化アーベル多様体のさまざまな様相が統一的にとらえらる。本研究では、代数幾何の基本的な不変量や射影性の概念を定式化し、また、代数幾何と形式幾何との対応を確立した。これにより、本理論の基礎づけ、応用に貢献している。