研究課題/領域番号 |
15K04818
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
宮崎 充弘 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90219767)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高次元配列 / テンソル / 不変式 / 群作用 / サグビー基底 / グレブナー基底 |
研究実績の概要 |
本研究課題のタイトルにある、高次元配列とは、様々な対象を3次元以上の直方体状に配列したものである。配列される対象は、その目的に応じて様々なものが考えられる。2次元の直方体、すなわち長方形状に興味ある対象、特に代数的に扱える対象である環の元を配列したものは、行列であり、古くから広い分野とのつながりが発見され、研究されてきた。本研究の主たる目的は、2次元、すなわち行列で行われてきた様々な研究を、高次元化することにより、さらなる広い分野とのつながりや応用を、群作用とその不変式を中心に探ることである。 そこで、初年度である本年度は、研究開始にあたり、高次元配列データの様々な性質を調べることに重点をおいて研究を開始した。より具体的に言うと、可換環の元を3次元以上に配列した対象と、2次元に配列された対象である行列との違いを、様々な角度から調べた。 その中で、行列式イデアルや、その高次元の対応物が重要な役割を担っているであろうという事がわかってきた。行列式イデアルは、代表的な一般線型群の作用に関する不変イデアルであるが、セグレ多様体の高次セカント多様体の定義イデアルでもある。また、様々な分野の数学と深いかかわりをもち、古くから広く研究されている。 平成27年度の研究により、高次元配列と、それに関連して作られる行列の行列式イデアルの次数、次元、余次元等が、もとの高次元配列の性質と密接に関係していることがわかった。また、行列式イデアルを、セグレ多様体の高次セカント多様体ととらえたとき、これの高次元対応物である、3個以上の射影空間のセグレ埋め込みの像の、高次セカント多様体の定義イデアルの重要性も、徐々にわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
可換環の元を成分とする高次元配列について、様々な角度から研究した結果、与えられた高次元配列から定義される行列の行列式イデアルと、もとの高次元配列が深い関係を持つことがわかってきた。行列式イデアルは、様々な分野と深いかかわりを持ち、歴史的に長く研究されている重要な数学的対象である。平成27年度の研究で、このような重要な数学的対象と、高次元配列の新たな関係を見出したことは、重要なことであり、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究の結果、その重要性が確認されつつある、行列式イデアルと高次元配列の性質の関係や、行列式イデアルの高次元対応物である、3個以上の射影空間のセグレ埋め込みの高次セカント多様体の定義イデアルについてさらに調べ、その可換環論的性質やグレブナー基底と、高次元配列に対する群作用に関する不変式環のサグビー基底の関係、上記イデアルのイニシャルイデアルの生成系と、上記不変式環のイニシャル部分環の生成系の対応などについて、深い次元でのつながりがあるかどうかなどを中心に探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画調書にもあるように、本研究では、多くの研究者から、様々な知見をうかがったり、得られた成果に対する評価、感想等をお聞きすることによって、本研究の研究対象、研究成果が、他の学問分野とどのようなつながりがあり、未知の深いつながりがないか探ることが、研究の主要な手法になっている。ところが、他の研究者のご都合により、お会いできる機会が前後することがあり、そのため、予算の使用時期が前後することが出てくる。 平成27年度は、予算の使用時期が後ろ倒しされた結果、次年度使用の必要が出てきた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の全期間を通して考えれば、研究計画調書どおりの予算が必要であり、平成27年度に後ろ倒しした予算執行をすることにより、予算を使用する。
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