研究実績の概要 |
本研究の目的は、ネーター局所環とそこに含まれる準素イデアルについて、ヒルベルト函数の理論を駆使しながら、その構造の分類を行うものである。 前年度までに,本研究では,M. V. Pintoによって提唱されたSally加群のフィルトレーションの理論の精密な解析を行ってきた。平成29年度は、その理論を用いて正規化された第1ヒルベルト係数の構造解析に従事した。先行研究として,正規化されたSally加群の構造を用いたヒルベルト函数の挙動研究がCorso-Polini-RossiやPhuongによって行われていたが,その理論を本研究に於いて構築してきたSally加群のフィルトレーションの枠組みにまで拡張することによって,新たな正規化された第1ヒルベルト係数による随伴次数環の特徴付けを与えた。 これら一連の成果は,M. E. Rossi氏とS. K. Masuti氏との共同研究として実施されたものである。平成29年6月にジェノバ大学数学科(ジェノバ,イタリア)を約3週間訪問し,両氏と研究打ち合わせを行った。 得られた研究成果については,International School and Workshop on Commutative Algebra(Ton Duc Thang University,Vietnam,2017年9月,招待講演・国際会議),International Conference on Commutative Algebra and its interaction to Combinatorics, Discrete Geometry and Singularity Theory(Hanoi,Vietnam, 2017年9月,招待講演・国際会議),Mini-Workshop on Commutative Algebra(北海道教育大学札幌駅前サテライト,札幌市,2018年3月,招待講演)に於いて報告を行った。さらに,これら一連の研究内容を学術論文として集約し,国際数学専門雑誌に投稿中である。
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