研究課題/領域番号 |
15K04831
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
増田 佳代 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40280416)
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研究分担者 |
宮西 正宜 関西学院大学, 数理科学研究センター, 客員研究員 (80025311)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 加法群の代数的作用 / 局所冪零微分 / アファインファイブレーション / 消去問題 |
研究実績の概要 |
1. 研究代表者の増田は,cancellation property をもたないfactorial な代数曲面の族が存在することを示し,その特徴づけを与えた.結果は,論文"Families of hypersurfaces with noncancellation property" としてアメリカ数学会の専門誌 Proceedings of American Mathematical Society に発表した. 2. 研究分担者の宮西氏は,正標数の場合に代数曲面上の加法群の作用について研究をおこない,得られた結果を論文 "Wild Z/pZ-actions on algebraic surfaces" としてまとめ,専門誌 Journal of Algebra に発表した.また,R.V. Gurjar, S.Chakraborty と共同で,スキームのpure morphism について局所的,幾何的側面から研究し,得られた結果を論文 "Pure subrings of commutative rings" にまとめ,専門誌 Nagoya Mathematical Journal に発表した. 3. 研究分担者の宮西氏が,2016年10月にフランス,グルノーブルで開催された国際研究集会 「Complex affine geometry, hyperbolicity and complex analysis」において "Affine threefolds with G_a-actions"と題して講演した.これは,これまでに得られた3次元アファイン代数多様体上の加法群の作用についての主な成果をまとめたものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3次元以上の高次元代数多様体上のアファインファイブレーション構造の解明のため,加法群の作用について引き続き研究をおこなっているが,一部の場合を除き,有効な結果がいまだ得られていない.3次元アファイン空間の特徴づけや3次元アファイン代数多様体上の加法群の作用については,さまざまな結果が得られてはいるが,まだ3次元の消去問題が解けるだけの十分な結果は得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
いくつかの重要な例を解析することにより,すこしづつファイブレーション構造の幾何的側面がわかってきている.高次元のアファイン空間の自己同型群がわかっていないため,加法群の作用について純代数的に取り扱うのには困難がある.幾何的性質がファイブレーション構造におよぼす影響について今後も詳しく解析していく. また,最近,旧知の研究者の A. Dubouloz が高次元代数多様体上のアファイン平面fibrationについての結果をアーカイブ上に発表するなど,いくつか重要な結果が得られつつある.最新の研究成果を知ることは,研究を推進する上で欠かせない.関連する分野の研究集会に積極的に参加し,討論や研究交流を通じて,本研究課題を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度にやむをえず海外出張をキャンセルせざるをえなかったため,その分の金額を2016度に剰余金として繰り越した.ところが,2016年度は所属する大学の学科の長であったため,長期の出張などはできなかったので,繰り越し分まで含めた出張のための旅費を使い切ることができなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
海外から若手の研究者が何名か関東の大学に来日して6月に連続講義をおこなう予定であるので,こちらから滞在先の大学に出向いて研究交流する予定である.そのための旅費として使用する. また,長年の共同研究者であるR.V. Gurjar 教授が2月に来日し,分担者の宮西氏とともに大阪で共同研究をする予定であり,その際の旅費等に使用する. さらに,毎年3月に関西学院大学大阪梅田キャンパスにて開催しているアフィン代数幾何学研究集会を今年度も開催する予定である.講演者,参加者の旅費の補助に使用する.
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