研究実績の概要 |
1)本研究の主たる目標であった「3次元ハイゼンベルク群内の対称性をもつ極小曲面のループ群による構成」の基礎理論の構築に成功した(Josef F. Dorfmeister氏、小林真平氏との共同研究、論文準備中)。他の2つの目標(3次元双曲空間内のガウス曲率一定曲面および3次元反de Sitter時空の極大曲面のループ群による構成)についても基礎理論を確立することに成功した。これら2つの課題についても論文を準備中である。 2)前年度、3次元可解幾何における標準的接触構造から定まる磁場曲線の軌道を求めることに成功した。この継続研究として3次元可解幾何における基本的なキリングベクトル場(無限小等長変換)の定める磁場曲線の軌道を求めることに成功した(E.Zlatko氏との共著論文として発表)。SL(2,R)の標準的接触構造に関する周期的磁場軌道をMunteanu氏との共同研究で分類した(論文投稿中)。 2次元球面の単位接ベクトル束内の接触磁場軌道を28年度に詳細に調べた。その継続課題としてユークリッド平面の単位接ベクトル束内の接触磁場軌道を分析した。3次元輪環面内の磁場軌道との関連を明確化することに成功した(Munteanu氏との共著論文として発表)。 3)工業意匠設計において活用されている対数型美的曲線を28年度および29年度の研究で相似幾何学的に再定式化し、基礎理論の構築と離散化に成功している。今年度は対数型美的曲線の拡張に向けて数学的な指針を確立するためにRushan Ziatdinov氏により提案された超螺旋を、共同研究本研究で導入した相似幾何学の枠組みで分析した(Ziatdinov氏、三浦憲二郎氏との共著論文として発表)。その成果として対数型美的曲線および超螺旋を含む「美的曲線」の候補としてある特殊なリッカチ微分方程式で定義される曲線族を発見した。またこれまで工業意匠設計研究者および精密機械工学研究者によって提案されてきた種々の拡張を総括する数学的(幾何学的)枠組みを与えた。
|