研究課題/領域番号 |
15K04843
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 調和バンドル / GKZ超幾何系 / Hitchin-WKB-問題 / asymptotic decoupling / limiting configuration |
研究実績の概要 |
GKZ超幾何系上の混合ツイスターD加群の研究を改良しました。特に、``better behaved GKZ systems''のtwisted Gauss-Manin接続としての構成を洞察することで、双対の比較に関する複雑な議論が不要になり、理論の見通しが大幅に良くなりました。これを基にして2014年度に書いたプレプリントarXiv:1501.04146を改訂しました。
コンパクトリーマン面上の調和バンドルからヒッグス場をスカラー倍して得られる変形族の挙動を調べました。スカラーが無限に向かうとき、スペクトル曲線の分解に伴うヒッグス束の分解が漸近的には直交していることを、局所的な解析のみで与えることに成功しました。この結果を用いて、調和計量の族から得られる平坦接続の族に伴う平行移動の族に関して、Katzarkov、Noll、Pandit、Simpsonが予想していた評価式(Hitchin-WKB-problem)を証明しました。さらに、階数が2の場合に、スカラーを無限にとばした時に調和計量の族が収束することを証明し、その極限の記述を与えることができました。調和計量は存在が証明されていても、具体的な形について知ることは非常に難しいのですが、これらの研究結果はスカラーを大きくした時に、おおよそどのような形をしているかについての情報を与えるものであり、意義があると思われます。また、極限の計量のパラボリックウェイトに関する条件もこれまでには知られていなかったものであり、非常に興味深いです。これらの結果をプレプリントarXiv:1508.05997にまとめました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調和バンドルの研究で新たな進展が得られたから。
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今後の研究の推進方策 |
現在おこなっている有理型平坦束から得られるようなconstructible enhanced ind-sheafの特徴づけに関する研究を進めます。また、研究計画に書いたような平坦束、インスタントン、モノポールなどに関する研究も進めていきます。これ以外にも、自分にとって新しい題材や問題に積極的にとりくんでいきます。
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