研究課題/領域番号 |
15K04843
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モノポール / q-差分加群 / ワイルド調和束 / ヒッグス束 / ストークス構造 / フーリエ変換 / ツイスターD加群 / Kontsevich complex |
研究実績の概要 |
微分幾何的対象と代数幾何的対象の間の「小林・ヒッチン対応」の研究を進めました。二重周期性を持つディラク型特異モノポールとq-差分加群の間の同値性を確立し、プレプリント "Doubly periodic monopoles and q-difference modules (arXiv:1902.03551)"として発表しました。また、三重周期性を持つディラク型特異モノポールと、楕円曲線上の差分加群の間の同値性を確立し、プレプリント "Triply periodic monopoles and difference modules on elliptic curves (arXiv:1903.03264)"として発表しました。 これらとは別に、ワイルドな特異性を持つ調和束とヒッグス束の間のKobayashi-Hitchin対応の証明を与え、プレプリント "Good wild harmonic bundles and good filtered Higgs bunldes (arXiv:1902.08298)"として発表しました。群作用に関する斉次性についても加味することで、フロベニウス多様体や量子D加群を微分幾何的な方法で構成する手法が得られたことになります。 ストークス構造の新しい記述の仕方を導入し、これを用いて、複素直線上のホロノミックD-加群のフーリエ変換として得られるD加群の無限遠におけるストークス構造を、ベクトル空間と線形写像を用いて具体的に記述する公式を得ました。この成果をプレプリント"Stokes shells and Fourier transforms (arXiv:1808.01037)"として発表しました。 不確定ホッジ理論で重要な対象であるコンセヴィッチ複体が、ある混合ツイスターD加群のV-フィルトレーションの相対ドラム複体と擬同型であることを証明した論文"A twistor approach to the Kontsevich complexes''を正式に出版しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この数年間の目標であった、二重周期性を持つモノポールとq-差分加群の間の小林・ヒッチン対応に、プレプリントではありますが、形を与えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象が非常に豊かなものであるため、興味深い問題が数多くあります。例えば、得られている「小林・ヒッチン対応」を興味深い具体的な例に適用すること、主G束への拡張、具体例の分類、モジュライの構成とその性質の研究、などが挙げられます。こういったことに問題を一つ一つ明らかにしていきます。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、いくつかの研究集会で招待講演をする予定があったため。
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