現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず実数直線R上に異なる2点x<yの配位空間のを考える。そしてxとyの距離が離れて行くときの極限を考え、配位空間の境界を構成する。するとこの配位空間の境界の点はR上にxを乗せたものとRの上にyを乗せたものの組と見なすことが出来る。同様にR上の相異なるn個の点の配位空間を考え、その境界を構成する。これはmetric treeもしくは種数0の点付きリーマン面のモジュライ空間のコンパクト化に対応している。問題はこの配位空間のコンパクト化の境界と、先述の境界付き多様体上のモース理論における勾配ベクトル場の積分曲線のモジュライ空間のコンパクト化の境界が一見食い違って見えるということである。このことを少し説明すると、R上の相異なる3点x<y<zの配位空間の場合、z-yの逆数をs、y-xの逆数をtとしたとき配位空間のコンパクト化はC={(s,t)|s≧0,t≧0}となる。一方、3点x<y<zを乗せたRから境界付き多様体上のモース関数の内部の臨界点p,qを結ぶ負の勾配ベクトル場の積分曲線の列があったとき、もしyの像が境界に向かって発散するとき、その極限の定義域はCにおける(s,t)=(0,0)の点に対応する。この(s,t)=(0,0)はCにおける余次元が2(つまり角)の点であるが、これを余次元が1(つまり境界)の点と見なせるような処理したいというのが現在の状況である。昨年度はシンプレクティック化への安定写像のモジュライ空間の角の次元の考察から非連結な曲線からの安定写像のモジュライ空間を適当な同値関係で割ったものを扱ったが、この場合も同様な処理が有効ではないかと考えている。
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