研究実績の概要 |
主に境界付き多様体のMorseホモロジーに関する研究を行った。境界付き多様体上に勾配ベクトル場が境界に沿うようなRiemann計量とMorse関数を与える。この場合、多様体の内部だけでなく境界上にも臨界点が現れるが、特に境界上の臨界点には負の勾配ベクトル場が流れ込むもの(+型)と湧き出るもの(-型)の二つのタイプが現れる。このような設定のもとで臨界点を結ぶ負の勾配ベクトル場の積分曲線のモジュライ空間を考えると、閉多様体の場合とは異なる以下のような現象が起こりうる。Morse指数の差が2の内部の臨界点p,qを結ぶ積分曲線の列で境界に向けて発散するものがあるとすると、その極限にpと+型の臨界点γを結ぶ積分曲線と、γと-型の臨界点δを結ぶ境界上の積分曲線と、δとqを結ぶ積分曲線の3本の積分曲線に収束するようなものが出現する。一方、Rを実数直線とし、R上の3点x,y,z(x<y<z)の配置空間を考える。そしてz-yの逆数をs、y-xの逆数をtをしたとき配置空間のコンパクト化はC={(s,t)|s≧0, t≧0}となる。このとき3点x,y,z(x<y<z)を乗せたRから境界付き多様体上のMorse関数のMorse指数の差が2の内部の臨界点p,qを結ぶ負の勾配ベクトル場の積分曲線の列があったとき、もしyの像が境界に向かって発散するとき、その極限に現れる3本の積分曲線の定義域はCにおける(s,t)=(0,0)の点に対応する。この(s,t)=(0,0)はCの余次元が2の点であるが、一方、Morse指数の差が2の内部の臨界点を結ぶ積分曲線の極限としてはモジュライ空間の余次元1の点として捕らえたい。そこでR上の3点x,y,z(x<y<z)の配置空間のコンパクト化としてC全体を考えるのではなくCの部分集合C^={(s,t)|s≧0, t≧0, s=t}に制限すれば良いということが分かった。
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