研究課題/領域番号 |
15K04861
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
黒瀬 俊 関西学院大学, 理学部, 教授 (30215107)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 情報幾何 / 最適輸送問題 / 確率分布の空間 / 等積中心アフィン曲線論 / 円周の微分同相群 |
研究実績の概要 |
2021年度も新型コロナウィルスを警戒した体制が続く中、教育や学内業務にかかる労力と時間は前年度に比較すれば若干減少傾向にあったものの、研究にかけるエフォートを上げることはあまりできなかった。さらに、研究を進展させるために必要な共同研究者たちとの研究打ち合わせや、研究者同士の直接的な交流を通じて行う関連研究についての資料収集・情報交換も、依然としてかなりの制限を受けたままであり、そのため今年度も研究を十分望ましいペースで進捗させることは残念ながらできなかった。ただ、研究計画の延長期間中に目指していた目標の一つである「有限空間上の確率分布における最適輸送問題の情報幾何的側面の解明」については、q-エスコート・エントロピー関数(あるいはさらにそれを一般化したエントロピー関数)によってバイアスがかけられたコスト関数に対する最適輸送計画のなす空間上に自然な双対平坦構造が導入されること、この輸送問題の最適コストから最適輸送計画のなす空間上のダイバージェンス関数が構成できることなどの結果を得て、甘利俊一氏(理化学研究所)・吉澤真太郎氏(トヨタ自動車)との共著論文として発表することができた。一方、もう一つの目標であった「等積中心アフィン曲線論を利用した円周の微分同相群の研究」においては、位相幾何で知られている事項と本研究で得られた結果との関係づけや、本研究に適用することを目的とした高次元アフィン空間における等積中心アフィン曲線論の整備の方向性などについてある程度の知見を得ることはできたが、それらを発展させて一つのまとまった成果として総合するまでには至らず、次年度以降の課題とせざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この約2年の間、新型コロナウィルス流行の影響により大学の業務に相当の労力と時間をかける必要があった一方で、直接の人的交流を通じた共同研究や資料収集・情報交換が大きく制限されてきた。そのため、研究に対するエフォートは低下し、研究効率もなかなか上がらなかったが、2021年度は新型コロナウィルスの影響が減じた時期もあったため、これまでの研究を進展させて、一部は成果としてまとめることができた。とはいえ、もともとの研究計画・目標からすると部分的な進捗に留まっているため、「(3) やや遅れている」と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
別項目で述べたように、新型コロナウィルス流行の影響により本研究計画のこれまでの進捗状況は当初の目標から見てやや遅れているといわざるを得ない。しかしながら今回、2022年度までの補助事業期間の延長が認められたので、2021年度に課題として掲げていながら十分には進展させられなかった「等積中心アフィン曲線論を応用した円周の向きを保つ微分同相群の研究」を中心に進める。幸いにして大学の業務は常態に戻りつつあるので、研究に対するエフォートもかつてと同様の水準まで戻せる可能性が高く、2022年度こそ大きく進展させることができるものと考えている。なお、2022年度に研究者の移動を伴う研究活動がしやすくなるようなら、研究経費を多く旅費に割り当てて研究進展に役立てたいと考えているが、まだ難しいようであれば2021年度までと同じくインターネットを介した研究交流にとどめ、研究経費は主として関連文献の入手や情報機器・ソフトウェアの更新に使用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)研究経費は主として研究課題に関連する文献の入手、インターネットを通じた情報収集・交換のための情報機器とソフトウアの購入や成果公開のための経費として使用する予定であったが、新型コロナウィルス流行の影響により研究活動が制限を受けて活動量が低下した結果、2021年度は経費を使用する機会がほとんどなかったため次年度使用額が生じた。 (使用計画)対面での研究打ち合わせや情報交換、成果発表が可能になるならば、その旅費として使用する。もしこれまでと同様に対面での交流が制限を受けるようであるならば、研究課題に関連する文献の入手、インターネットを通じた情報収集・交換のための情報機器とソフトウアの購入や成果公開のための経費として使用する。
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