研究課題/領域番号 |
15K04862
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松浦 望 福岡大学, 理学部, 助教 (00389339)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 離散曲線 / 離散非固有アフィン球面 / 離散modified KdV方程式 / 離散リウヴィル方程式 |
研究実績の概要 |
初年度にひきつづき離散微分幾何・離散可積分系の立場から離散曲線のいくつかの変形を考察した。成果は次の二点である。その一(ミンコフスキー平面内の離散曲線の変形):ソリトン方程式の代表例であるmodified KdV方程式はその非線形項の符号によってふたつのタイプに分かれ、ひとつはfocusing型(あるいはmKdV+方程式)、もうひとつはdefocusing型(あるいはmKdV-方程式)と呼ばれている。曲線の変形理論の観点からは、前者はたとえばユークリッド平面内の曲線の等長変形を記述し、後者はたとえばミンコフスキー平面内の曲線の等長変形を記述する。本年度は梶原健司氏らとの共同研究で次のことがわかった。(1)ミンコフスキー平面内の空間的離散曲線の離散的等長変形は離散mKdV-方程式によって記述される。(2)これをミウラ変換することによって等積中心アフィン平面内の離散曲線の離散的等積変形が誘導される。(3)これらの変形はそれぞれタウ関数を用いて明示的に構成することができる。その二(離散非固有アフィン球面の表現公式):アフィン球面は固有なものと非固有なものに分かれ、これらはそれぞれユークリッド幾何学における通常の球面および平面のアフィン微分幾何学的な類似物として知られているが、可積分系の観点からはそれぞれツィツェイカ方程式およびリウヴィル方程式で記述される曲面である。本年度は小林真平氏との共同研究で次のことがわかった。(1)アフィン計量が不定値であるような非固有アフィン球面に対して、ループ群の分解理論を援用して表現公式を導出した。(2)そのことを離散化し、離散非固有アフィン球面の表現公式を得た。(3)これらの表現公式はふたつの平面(離散)曲線から(離散)非固有アフィン球面が構成されることを述べており、この表現公式を用いて特異点の観点から興味深いと思われるようないくつかの例を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が当初の計画どおりに進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を基盤として以下のことに取り組む。(1)等積中心アフィン幾何と中心アフィン幾何においてそれぞれ離散曲線の変形を調べ、ミウラ変換による対応を明らかにしたうえで明示公式を構成する。(2)アフィン計量が定値であるような非固有アフィン球面の表現公式の導出とその離散化、および最適化理論への応用を目指す。(3)曲線短縮方程式に代表されるような非可積分系の離散モデルを提案する。
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