本年度に実施した研究の成果は、多重共役バイカンドルのコサイクルの具体的な構成に関して、バイカンドルのコサイクルを用いた平行化の方法を明らかにしたことです。バイカンドルのコサイクルが,バイカンドルの型を法とする条件を満たすとき、多重共役バイカンドルのコサイクルを構成することができます。また、多重共役バイカンドルを用いたハンドル体結び目のバイカンドルコサイクル不変量に関する論文を発表しました。この論文では、退化部分加群が部分鎖複体であることを示し、多重共役バイカンドルの(コ)ホモロジー理論を構築しました。このような研究成果を得るためには、科学研究費補助金を用いて出張を行い、研究会議で国内外の研究者と議論を交わすことが重要でした。特に、本研究に関連した研究会議として「ハンドル体結び目とその周辺10」が10月に開催されました。この研究会議では、Kanako Oshiro 氏によるバイカンドルの紹介、Tomo Murao 氏によるハンドル体結び目の cutting number についての研究、Jieon Kim 氏によるハンドル体結び目の多重共役バイカンドル彩色についての研究、Shosaku Matsuzaki 氏による曲面の空間埋め込みについての研究、Shin'ya Okazaki 氏によるハンドル体結び目(6-14)の cutting number についての研究、Sam Nelson 氏によるねじれ仮想ハンドル体絡み目の代数的不変量についての研究、Susumu Hirose 氏によるハンドル体の写像類群の不変量についての研究がありました。またハンドル体結び目に関連した低次元トポロジーの重要な問題についても話し合われました。
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