研究実績の概要 |
当初目標である3次元ユークリッド空間内の曲面の円柱との接触を調べた。解析はほぼ終了していて現れる接触の型、接触円柱の母線方向(cylindrical direction, Generatrix direction) の満たす3次の常微分方程式の解曲線の特異点の分類など、特異点論で通常言うところの「一般的には」という文脈の下で、種々の結果を得ている。これらの結果に、曲面の正射影の特異点を調べる立場から之に興味を持つ研究者がいて、その関連を議論した。次なる研究課題である、3次元ユークリッド空間内の尖辺(cuspidal edge) および 燕尾(swallow tail) の解析も行った。有限次の微分幾何的不変量をすべて記述することがその目標で、必要な計算の基幹部分は終了したと考えている。計算量はかなり多く、ちょっと大変だったというのが印象であるが、とにかく機関部分の計算は終わった。副産物として、尖辺(cuspidal edge)の近傍での漸近線の振る舞いや曲率線の振る舞い、燕尾(swallow tail) の近傍での漸近線の振る舞いや曲率線の振る舞い等解析できるようになった。計算した結果、尖辺(cuspidal edge )と放物軌跡 (parabolic locus) の交点では第2基本形式が非常に退化し、まだ漸近線の方程式の解曲線の特異点型の決定までは至っていない。その場合を除いては「一般的には」という文脈では満足すべき結果と得たと思われる。手法としては研究計画に述べた標準形に還元して計算する、標準形法が大きな修正を加えずにうまく働いたと評価している。
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