研究課題/領域番号 |
15K04868
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
合田 洋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60266913)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結び目 / 体積 / アレキサンダー多項式 |
研究実績の概要 |
昨年度終盤になって得られた結び目不変量を用いた結び目補空間の体積表示について証明の詳細を再検討した.そして5月に秋田大学のセミナー,8月に大阪電気通信大学で行われた拡大KOOKセミナー,10月に東北大学で行われた東北結び目セミナー2016で講演発表しレヴューを受けた.これらの研究発表は本研究に関連する研究を進めておられる数学者の方達から様々な意見・アドバイスを受けることができ,非常に有益であった.そしてこの研究について論文にまとめ現在専門誌に投稿中である. 秋からはこの結果を拡充することと,ホロノミー表現の持ち上げに関してより精緻な議論・計算を進め現在に至っている.なお計算ミスを防ぐためにそれまで使っていた計算ソフトに加えてMathWorks社のMatLabを購入し使用している. 当研究分野の第一人者であるバルセロナ自治大学のPorti教授が10月に奈良女子大学で行われた国際研究集会に参加講演された.その講演を聞くために集会に参加し,更に本研究分野の研究最新情報の交換を行った. また1月には再度秋田大学にて研究打ち合わせを行った.2月には東京農工大学に5名の研究者に来て頂きトポロジーセミナーを開催し当該分野の専門的知識の提供を受け,更に東京大学で開催された 国際研究集会 The 12th East Asian School of Knots and Related Topics の local organaizer を務める一方で Plenary Talk にて講演を行った.本国際集会にて専門的知識を提供して頂くために東北大学の大学院生の方を招聘し旅費を支出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究と合わせて本研究課題の一つの目的であった結び目不変量を用いた結び目補空間の体積公式を得,論文にまとめることが出来た.そしてこの公式を用いて8の字結び目に関しては現在研究室にあるコンピュータ及び計算ソフトでは性能上これ以上は時間の浪費になると思われるまで計算することが出来た. 5月と1月に本研究課題に関わる研究を行っている研究者の方が在籍される秋田大学を訪問し,証明の細部について議論することが出来た. また本研究に関連する研究を行っていると思われる数学者の方達が集う研究集会,具体的には8月の大阪電気通信大学で行われた拡大KOOKセミナー,10月に東北大学で行われた東北結び目セミナー2016,2月に東京大学で開催された 国際研究集会 The 12th East Asian School of Knots and Related Topics にて研究発表講演を行いレヴューを受けることが出来た.本国際集会の local organizer を務め専門的知識の提供を受ける為の旅費の算出,プログラム作成等を行う一方で研究関連分野の最新情報の収集を行う事が出来た.
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今後の研究の推進方策 |
研究申請時から予定していた,当該研究分野の第一人者である Pori 教授の在籍しておられるバルセロナ自治大学を4月に訪問し幾何学セミナーにて研究発表を行いレヴューを受ける予定である.その後5月に東京大学大学院数理科学研究科における火曜トポロジーセミナー,京都大学数理解析研究所で行われる研究集会 Intelligence of Low-dimensional Topology にて講演し,レヴューを受ける予定にしている. 昨年秋から始めている,これまでに得た結果を拡充しホロノミー表現の持ち上げに関するより精緻な計算に関する議論を研究として,さらに論文としてまとめたいと考えている.その為に3次元多様体の無限巡回被覆空間および結び目群の character variety に関わる幾何学および代数学の勉強を始めている.また論文作成用にグラフィックデザインソフト(Adobe社のイラストレーターを予定)の購入を計画している. さらに秋田大学で予定されている東北結び目セミナー,奈良女子大学で予定されているTopology and geometry of low-dimensional manifolds 2017等に参加し研究最新情報の収集を行う計画をたたている.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は申請時に予定していた額をおおよそ使用したが,初年度に繰り越した額がほぼそのまま残額となっている.初年度には本研究課題に関わる微分幾何,複素幾何,表現論関係の専門書を購入し研究時間の大半をそれらを勉強することによる専門的知識の拡充に費やした.これに想定以上に時間がかかってしまい,レヴューを受ける為の研究発表や講演が出来なかったのが理由である.また初年度は計算機実験に使うための最新コンピュータの購入やソフトウエアの更新も無かった.
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次年度使用額の使用計画 |
生じた次年度使用額は,4月末に当該研究分野の第一人者である Porti 教授が在籍されるバルセロナ自治大学を訪問するための旅費に使用する計画である.さらに論文作成用にグラフィックデザインソフト(Adobe社のイラストレーターを予定)の購入を計画している.また表現論の中でも特に2次元特殊線形群の高次元既約複素表現や character variety 関係の文献それから量子群,量子不変量関係の文献を購入し勉強したいと考えている.さらに秋田大学で予定されている東北結び目セミナー,奈良女子大学で予定されているTopology and geometry of low-dimensional manifolds 2017等に参加し研究最新情報の収集を行う計画をたたている.
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