研究課題/領域番号 |
15K04868
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
合田 洋 東京農工大学, 大学院工学研究院, 教授 (60266913)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 結び目 / 体積 / ねじれアレキサンダー多項式 |
研究実績の概要 |
平成28年度に得たねじれアレキサンダー多項式を使った双曲結び目補空間の体積表示について,4月23日から30日にスペインのバルセロナ自治大学 CRM研究所の Joan Porti教授を訪問し当研究所の Geometry Seminar で研究発表を行いレヴューを受けた.今後の研究の方向性についても専門的知識の提供,意見交換を行うことができ非常に有益な研究打ち合わせを行うことが出来た. その後,東京大学数理科学研究科でのトポロジーセミナーでも研究発表を行いレヴューを受けた.更に5月に京都大学数理解析研究所にて行われた Intelligence of Low-dimensional Topology 及び8月の東海大学で行われた第64回トポロジーシンポジウムで講演を行った.昨年度までの研究についてまとめた論文は6月にアクセプトされ7月に Proceedings of the Japan Academy に発表された.本研究の背景,概要,証明のアイデア等が書かれたサーベイ論文を数理解析研究所講究録,第64回トポロジーシンポジウム講演集に発表した.
続いて境界が2つ以上ある双曲絡み目補空間についての体積公式について論文をまとめ専門誌に投稿した.その際,最新コンピュータとソフトウエアを購入し基本群の高次既約表現に付随するねじれアレキサンダー多項式の計算を行いそのデータを記述した.
あるクラスに属する結び目に対するねじれアレキサンダー多項式とある微分幾何学的不変量の間に成り立つ関数等式を示し群馬大学トポロジーセミナーで報告した.対象となる結び目のクラスをより一般なものとするための方策を探るために様々なゼータ関数の勉強を行っている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に得た結び目不変量を用いた結び目補空間の体積公式を2成分以上の絡み目に対する公式に拡張することが出来た.そしてこの公式を用いてWhitehead link に関して高次結び目不変量の漸近挙動を具体的に計算することが出来た. 4月23日から30日までスペインのバルセロナ自治大学を訪問した.本研究課題の先行研究を行った Joan Porti 教授を訪問し研究のレヴューを受け,今後の研究方向性について議論することが出来た.さらに東京大学数理科学研究科のトポロジー火曜セミナー,京都大学数理解析研究所で行われた Intelligence of Low-dimensional topology,東海大学で行われた第64回トポロジーシンポジウムにて講演させて頂けた.
上記の研究をさらに推し進め,あるクラスの結び目についてある結び目不変量とある微分幾何学的不変量から得られる関数等式を示し,群馬大学トポロジーセミナーにて報告することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの結果を得る為に利用した先行研究を詳しく調べた結果,数論に関わるゼータ関数の研究にその起源があることが判明した.その調査過程で昨年度までに得た知見をさらに深められる可能性が発見されたのでその部分の研究を進めたい.その為には数論,表現論,大域解析学などの広範囲に及ぶ知識が必要であり難航が予想される.まず最初にそういった分野の知識拡充に努め,新しい理論の展開にチャレンジしたいと考えている.もし新しい知見が得られた場合には8月に大阪市立大学で予定されている拡大KOOKセミナー2018や10月に秋田大学で開催が予定されている東北結び目セミナー2018などで講演しレヴューを受けたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)昨年度は申請時に予定していた額より多く使用したが,初年度に繰り越した額の一部が残額として残った.初年度には本研究課題に関わる微分幾何,複素幾何,表現論関係の専門書を購入し研究時間の大半をそれを勉強することによる専門的知識の拡充に費やした.これに想定以上の時間がかかってしまい,レヴューを受ける為の研究発表等が出来なかったからである. (使用計画)生じた次年度使用額は6月末にアメリカカリフォルニア大学バークレー校で開催される国際研究集会 Topology in dimension 3, 3.5 and 4 に参加する為の旅費の一部に使用する計画をたてている.
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