研究実績の概要 |
1.3次元球体に適切に埋め込まれた互いに交わらないn本の弧をタングルという。この概念を一般化して,種数gのハンドル体に適切に埋め込まれた互いに交わらないn本の弧を一般タングル,あるいは(g,n)-タングルとよぶ。研究代表者によって定義された「タングルのトンネル数」の概念を(g,n)-タングルに拡張し,結び目Kのトンネル数と一般タングル分解により得られる一般タングルのトンネル数に関する基本公式を得た。これは研究代表者による先行研究(J. Math. Soc. Japan 66, 1303-1313)の一般化に相当するもので,実に自然な拡張となっている。
2.上述の基本不等式における等号成立の可否についての研究を行うことにより,研究代表者による先行研究(Math. Proc. Cambridge Philos. Soc. 165, 541-548)の結果を,一般タングル分解の場合に拡張した結果を得ることに成功した。すなわち,任意の自然数g,2以上の整数n,非負整数t_1,t_2に対して,次の等式を満たす,結び目Kとその(g,n)-タングル分解T_1∪T_2が存在する:tnl(T_1)=t_1,tnl(T_2)=t_2,tnl(K)=tnl(T_1)+tnl(T_2)+g+2n-1。このことにより,複雑な構造をもった一般タングルの和により得られる結び目のトンネル数はまったく減衰しないことを確認することができた。
|