研究実績の概要 |
1.曲面の criticality という概念が Bachman によって導入されている。このような性質をもつ曲面は弱可約であるにもかかわらず,強既約的な特徴をも持ち合わせている興味深いものである。曲面の criticality の定義は,曲面の両側にある円板集合の分割によってなされている。本研究では,このような円板集合の極端に偏った分割(極小分割)がもつ特徴を記述するとともに,極小分割を許容する critical 曲面の具体例を見つけることに成功した。以上は,李正勲(Lee, Jung Hoon)氏(全北大学,韓国)と共同研究の成果である。
2.3次元多様体をフロースパインで切り開いて得られる3次元球体を考える。その境界の貼合写像から多様体の情報をすべて含むような仮想結び目図式を得ることができる。さらに,多様体の同相性を仮想結び目図式の局所変形で記述することができる.これらの事実をもとに,仮想結び目図式のカンドル彩色とよばれる概念のアイデアを応用することにより,初等的ではあるものの非自明な不変量を構成することに成功した。本研究は石井一平氏,中村拓司氏(大阪電気通信大学) との共同研究による成果である。
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