研究実績の概要 |
17種類の2次元結晶群の点群の自然な作用についての2次元トーラスの同変(ねじれ)K理論の計算を, 研究協力者と共同で行った. 数学的な結果は, 当該K理論の群構造についてすでに別のK群の計算を通して知られていた結果を再現するとともに, これまで計算されていなかったねじれK理論を計算し, K理論の表現環上の加群構造まで決定したことである. また, 物理的な結果としては, バルク・境界対応を通じて, 3次元位相的結晶絶縁体・超伝導体の分類を得たという意義がある. この結果, 3次元位相的結晶絶縁体として, 時間反転対称性および粒子空孔対称性がないにもかかわらず符号で分類されるものを, すべて発見することができた.
この計算においては, 同変K理論のねじれとしては, 群コサイクルによって実現できるもの(のいくつか)を考えていた. しかし一般論からは, それ以外のねじれもありえる. そのため, 2次元結晶群の点群が自然に作用する2次元トーラスの同変コホモロジーを3次まですべて計算し, 可能なねじれを特定した. 結果として, 上記の同変ねじれK理論の計算は, 群コサイクルによって実現できるすべてのねじれを尽くしたことがわかった.
また, AIIクラスの位相的量子系の分類への応用を目的とし, `四元数'(`シンプレクティック')ベクトル束のFKMM不変量について, 研究協力者と共同で詳しい解析を行った.
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