研究課題/領域番号 |
15K04872
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
南 範彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80166090)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | isogeny / 無限ループ空間 / ホモトピー論 / モチビックホモトピー論 / ファノ多様体 |
研究実績の概要 |
今年度本科研費等を用いて,多くの広範囲の数学の分野の研究集会に参加させて頂き,数多くの知見を得ることが出た.その中でも2017年9月に山形大学で開催された日本数学会秋季会での鈴木拓氏の高次ファノ多様体に関する講演を目にして,本研究へのこれまでの研究計画においては全く予想だにしていなかった新しい切り口を見出すことが出来たことは,大収穫であった.
実際,鈴木拓氏の講演に触発されて,本研究展開の背景となるモチビックホモトピー論の枠組みに於いて,極めて広大な鉱脈を掘り当てたと信じるのである.その詳細はまだここには書けないが,その切り口の第一歩となる結果は,鈴木拓,Araujo-Castravet, de Jong-Starr の諸氏の結果を一般化する,高次ファノ多様体が適当な pseudo-index に関する条件の下,高次有理多様体によって覆われるというものである.この結果の一部は,2017年11月の変換群論シンポジュウム(於福井市フェニックスプラザ),ホモトピー論シンポジウム(於高松市生涯学習センター(まなびCAN)),2017年12月の岡山大学集中講義,高知ホモトピー論談話会2017,2018年3月の日本数学会年会(於東大数理)に於いて発表した.
このうち高知ホモトピー論談話会2017に関しては,本科研費を用いて下村克己氏,加藤諒氏とともに,開催者の一員となり,連続講演を含めて計5回の講演も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これは,『9.研究実績の概要』で述べたように,鈴木拓氏の講演に触発されて,本研究展開の背景となるモチビックホモトピー論の枠組みに於いて,極めて広大な鉱脈を掘り当てたと信じるからである.その切り口の第一歩となる結果に関しては2017年度中には論文としては書き上げられなかったが,これはこの結果の証明自体の困難によるものではなく,この証明の土台となる結果の一部に証明の詳細が省かれていたり,また証明が述べられれていてもそれが見通しよく書かれてないものが有ったりしたたも,読者の便宜のためこれらの証明を分かり易く簡潔に述べる工夫に時間を多く注ぐこととなったからである.
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今後の研究の推進方策 |
2017年度に見出したこの鉱脈をさらに開拓してよりモチビックホモトピー論的な側面が強調される方向に繋げ,そこで派生するであろう技術的困難を凌駕する手法として,導来代数幾何と関係付けて行きたい.またそれに関連して,2016年度に集中して学習したFrancis Brown氏,Kevin Costello-Owen Gwiliam氏の数学との関連についても探りたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
PCの老朽化によると思われるPC不安定状況が目立つようになってきたため,本年度後半にPCとそれに用いるプログラム一式の購入を予定していたが,実際に本年度後半になってから,『9.研究実績の概要』で述べた予期せぬ鉱脈の発見に伴い,広範囲の分野の文献を老朽化したPCに頻繁にダウンロードしたり講演資料や結果発表の論文作成等で忙しくなり,すぐに新しいPCを導入する余裕が余りなくなってしまった.そこで,新しいPC導入を次年度とし,PC導入のために準備していた資金を次年度に繰り返した.
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