研究実績の概要 |
本年度は, 主に次の項目に関する基礎的な研究を進めた. (1) F.T. Farrell, I. Belegradek や その共著者により,低次元 及び 高次元多様体上の「断面曲率に関して適当な条件を満たすリーマン計量の成す無限次元空間」や この空間の商空間である タイヒミュラー空間 や モデュライ空間 の位相的な性質の研究が進展している (cf. Oberwolfach, Report No. 3/2017, Spaces and Moduli Spaces of Riemannian Metrics).このテーマについては,2015年度に本科研費の下で参加した 1st Pan Pacific Inter. Conf. on Topology and Applications, (Nov. 25-30, 2015, Min Nan Normal Univ., China) において,F. T. Farrell 等の講演を聴講し,この分野の最近の進展状況の一端を知ることが出来た.この様な背景の下で,本年度は,これらの一連の研究の進展状況の理解や本研究テーマへの関連性について基本的な研究を行い,関連する研究集会では,この内容に関する解説を行った. (2) L. Funar や その共著者により,典型的な無限曲面の漸近的写像類群の研究や多様体に埋め込まれたカントール集合の同相写像で多様体の微分同相に拡張出来るもの全体の成す可算群の研究が,トンプソン群の拡張という方向で進展している.この研究の進展状況の理解や本研究テーマへの関連性について基本的な研究を行った.また,これに示唆されて,非コンパクト距離多様体の一様同相群の一様位相の下での位相的性質の研究の継続として,コンパクト曲面の被覆曲面として得られる無限曲面の一様同相群のエンドでの大域的な変形性の研究を進めた.
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