研究実績の概要 |
本研究では, 非コンパクト多様体の微分同相群の位相的性質と多様体のエンドの幾何構造の関連性の研究を目指している. その例として, 距離多様体上の一様同相の成す群の一様位相の下での位相的性質を考察し, 多様体のエンド上での一様同相群のホモトピー変形性についての研究を進めた. ユークリッド型エンドを持つ距離多様体については, すでにエンド上での可縮性を示しており, さらに双曲型エンド及び楕円型エンドの場合のエンド上での一様同相群の変形性を考察した. 一様同相群や一様埋め込みの空間の局所変形性及びユークリッド型エンド上での変形性に関する結果をまとめた論文を2016年度に投稿したが,2018年4月に出版された.この結果について,2017年度秋期日本数学会トポロジー分科会において研究発表を行った. 微分同相群は, 多様体上の様々な構造の成す無限次元空間に作用しており, 微分同相群の変形性について考察するためには, これらの空間及びその作用の位相的性質を考察することが有効である. 例えば, F.T. Farrell, I.Belegradekらにより高次元多様体上の正/負断面曲率を持つリーマン計量の成す無限次元空間の位相的な性質の研究が進んでいる.このような研究を本研究に結びつけるための考察を継続している. 2017年度は,2つの研究会において,リーマン計量の成す無限次元空間の位相的な性質 (ホモトピー群 etc) についての F.T. Farrell, I. Belegradek らの一連の研究について解説を行った. コンパクト多様体上の微分同相群や主バンドル上の同変微分同相群の,群としての一様完全性が,坪井氏や福井氏によって示されているが,非コンパクト多様体上の微分同相群や主バンドル上の同変微分同相群の一様完全性について福井氏と共同研究を行い,その成果をまとめている.
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