研究実績の概要 |
(1) 平成28年度に, Darondeau-Pragaczによる, 旗束に付随したGysin準同型の公式を複素コボルディズム理論へ拡張する研究に着手し, 平成29年度は引き続き, この問題に取り組んだ. まずA型の旗束の場合に, 彼らの公式を複素コボルディズム理論へ拡張することができ, それを利用して, これまでに導入した「普遍Schur S, P, Q-関数」の母関数表示を得ることができた. さらに, これら普遍Schur関数を, その特別な場合として含む「普遍ファクトリアルHall-Littlewood P, Q-関数」を導入し, これらの母関数表示も求めることができた. 母関数表示の副産物として, Schur多項式のJacobi-Trudiの公式やSchur Q-多項式のPfaffian公式, およびそれらの「K理論版」を統一的な方法で求めることができる. これらの成果は, 論文「Generating functions for the universal Hall-Littlewood P- and Q-functions」(arXiv:1705.04791)として発表された. 現在, B, C, D型の旗束の場合にも, Darondeau-Pragaczの公式を複素コボルディズム理論へ拡張することができ, 結果を論文としてまとめている最中である. (2) シューベルト・カルキュラスの文脈において, Schur S, P, Q-多項式を, その特別な場合として含む「Hall-Littlewood多項式」に対して, それらが代表する「幾何学的な対象」を考えることは自然である. 平成29年度は, この問題に着手し, 1990年代に導入された「p-コンパクト群」の等質空間を考えることで, 古典的なシューベルト・カルキュラスの類似が成り立つことを確認した.
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