研究実績の概要 |
Doodleは平面または球面に2重点を許してはめこまれた複数の閉曲線のある種の同値類で,R. FennとP. Taylorが1979年に導入した拡張結び目である。M. Khovanovが単体の閉曲線に拡張した。さらにA. Bartholomew, R. Fenn, S. Kamadaと研究代表者が仮想doodleは種数が正である場合を含めた閉曲面にはめこまれた閉曲線のある種の同値類を表すことを示した。本年度は拡張結び目の一つである仮想doodleの研究を行い,新しい代数的構造を持つ集合pre switchに値を持つ不変量を構築し,そこから導かれる整数値不変量を定義した。いくつかの仮想doodleに対してこの不変量を計算して有効な不変量であることを示した。 仮想結び目は拡張結び目であり,古典的な結び目ダイアグラムの集合は仮想結び目ダイアグラムの集合の部分集合である。正規仮想結び目は仮想結び目の部分集合で,古典的な結び目のある種の性質を引き継いだ仮想結び目のクラスである。古典的な結び目は正規仮想結び目であり,正規仮想結び目は古典的な結び目と仮想結び目をつなぐクラスである。本年度は閉曲面上の結び目ダイアグラムと関係のあるtwisted linkのダブルカバーの手法を応用して仮想結び目から正規仮想結び目への新しい写像を構築した。研究代表者が「Converting virtual link diagrams to normal ones」(Topology and its applications, 230, 2017, 161-171)で発表した写像を改良したものである。今回導入した写像では元の仮想結び目が同値であるならその像の正規仮想結び目も同値である。その手法を利用して新しい不変量を定義し,他の仮想結び目不変量との関係も発見した。
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