1.空間6頂点完全グラフ内の2成分絡み目の絡み数の総和,及び空間7頂点完全グラフ内のHamilton結び目のArf不変量の総和は必ず奇数であるという事実はConway-Gordonの定理として知られ,研究代表者によってその整数持ち上げによる「精密化Conway-Gordonの定理」も与えられている.森下央子氏(東京女子大学)との共同研究により,任意の頂点数 $n\ge 6$ について,この精密化定理の空間 $n$ 頂点完全グラフへの一般化を与えた.系として,各辺が線分である線形空間完全グラフ内のHamilton結び目の挙動への応用を与えた. 2.Kazakov-Korablev は,空間 $n$ 頂点完全グラフの全頂点を含む2成分絡み目の絡み数の総和は $n\ge 7$ では必ず偶数であることを示した.森下央子氏(東京女子大学)との共同研究により,任意の頂点数 $n\ge 6$ について,上記事実の整数持ち上げによる精密化を,全頂点を含む2成分絡み目の絡み数の2乗の総和を簡明な式で表すことにより与えた. 3.結び目 $J$,$K$ に対し,$J$ の結び目群から $K$ の結び目群への全射準同型が存在するとき $J \ge K$ と定義すると,この関係は結び目型の前順序を定める.特に素な結び目については半順序となり,11交点以下の素な結び目についてその構造が決定されている.小澤 裕子氏(東京女子大学),鈴木正明氏(明治大学)との共同研究により,種数2のハンドル体結び目について同様の研究を開始し,6交点以下の既約なハンドル体結び目について幾つかの結果を得た. 4.2019年3月に米国に出張し,Claremont Topology Seminar (Claremont McKenna College)で講演を行なった.また,Erica Flapan氏との共同研究打ち合わせを行なった.
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