今後の研究の推進方策 |
これまで、ゲージ群のホモトピー型の研究を構造群であるリー群のSamelson積の解析を通して行なってきた。この基本方針は今後も変わらない。 (1)例外型リー群のSamelson積 連携研究者・岸本大祐氏のチームにより開発された手法を用いて、例外型リー群のSamelson積の位数の計算を継続する。その応用として、quasi-regularと呼ばれる場合に局所化されたゲージ群のホモトピー型を決定する。この決定後、残るケースは例外型リー群のホモロジーがトーションをもつ極端に難しい場合か、E7, p=5,7かE8, p=7の場合のみである。 (2)retractileでない場合 古典型、例外型の場合の局所化されたSamelson積の決定をこれまで行なってきたが、そのどちらの場合もretractileと呼ばれるもの、つまり、一回懸垂すると、ホモロジーを生成する部分複体へとレトラクトするようなリー群についてのみ考えてきた。その大きな理由は、リー群そのものは次元が大きすぎるが、ホモロジーを生成する部分複体の次元は比較的低く、その構造も単純だからである。一方、Millerによる古典群の安定分解に関する結果によると、十分な階数懸垂すると、古典群はホモロジーを生成する部分複体にレトラクトすることがわかる。今後は、まず特殊ユニタリー群の場合にretractileでない中で最も階数が低いものを考え、どの程度懸垂するとホモロジーを生成する部分複体へレトラクトするのかを、局所化することで状況を単純化して考える。また例外型の場合もE7, p=7の場合にmod p 分解に現れる空間を分析する。これらの場合に加え、F4, p=3のmod p 分解に現れるHarper空間と呼ばれる空間に関するSamelson積を、その安定分解を通して評価する。
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