研究実績の概要 |
Gを位相群とし、Pを空間X上の主G束とする。Pのゲージ群とはPの自己同型のなす位相群のことをいい、その名前はPの自己同型が物理でいうゲージ変換であることに由来する。ゲージ群は数学と物理の両分野で重要な研究対象であり、特に、数学におけるゲージ理論、変換群論、そして、トポロジーにおいて特に重要である。Gottlieb、後にAtiyahとBottによってPのゲージ群の分類空間は写像空間map(X,BG)のPの分類写像f : X → BGを含む弧状連結成分であるmap(X,BG;f)にホモトピー同値であることが示された。これによりゲージ群の分類空間は写像空間のモデルを与えることがわかり、盛んに研究されるようになった。特に、Pのゲージ群は評価ファイブレーション map*(X,BG;f) → map(X,BG) →BG の連結写像G → map*(X,BG;f)のホモトピーファイバーと同一視されることから、ゲージ群の研究は評価ファイブレーションという基礎的な対象の古典的視点とは異なる新しい視点からの理解へとつながるものである。本年度は特にS4上の主Sp(n)束のゲージ群のホモトピー型に関する不変量とp局所ホモトピー型の分類を行った。Sp(n)束のゲージ群は複素K理論を用いたこれまでの研究手法ではとらえることのできないものであり、実K理論を用いる必要がある。しかし、実K理論は非常に複雑であり、当該年度に得た結果は先行結果とは一線を画すものである。また、本結果は1992年のSutherlandの結果における不定性を解消するものであり、古典的なゲージ群の研究に決着をつけるものである。
|